歴代受賞者

1992年(第8回)日本国際賞受賞者

生物生産の科学と技術分野
家畜における精液及び胚の凍結保存技術の開発

 

写真

アーネスト・ジョーン・クリストファー・ポルジ教授(イギリス)

イギリス、アニマル・バイオテクノロジー・ケンブリッジ・リミテッド

科学・研究担当取締役
1926-2006

授賞理由

 ポルジ教授は、ケンブリッジ大学の畜産研究所(ハンティンダン・ロード)に30余年にわたり勤務した繁殖生理学の権威であり、ことに低温生物学とその家畜育種繁殖への応用に数多くの業績を残している研究者である。同教授は150篇以上の論文を学術雑誌に発表しており、また多くの講演会を世界各地で行っている。また、同教授はFAOの遺伝資源保護部会や、インドのUNDPバイオテクノロジー計画のコンサルタントを務め、また国際自然保護連合のゲノム・スペシャリスト・グループのメンバーであり、希少品種保護トラストの技術部会の顧問でもある。同教授はECの家畜繁殖生理学に関する委員会のイギリス代表を務め、また以前は繁殖学会や低温生物学会の会長を務めた。

 1950年代の初めにポルジ教授と共同研究者はNature誌に、グリセロールを添加した(培養液)保存液を加えた牛精液を-79℃の低温で凍結させる新しい精子保存法を報告した。そして低温生物学(クリオバイオロジー)という医学や農学の各分野で実際に広く応用される(例えば初期胚の凍結のような…)新しい科学が誕生した。

 その応用の最大の成果は、人工受精における精液の凍結保存法の確立であることは疑う余地がない。ことに牛においては、この技術が繁殖と遺伝的改良に及ぼした効果は計り知れぬものがある。ポルジ教授は、精子保存の基礎理論の発展に関与したばかりでなく、イギリスはじめ各国の諸団体と積極的に協力して、その応用に貢献している。ポルジ教授の家畜繁殖生理学分野の業績は、他の多くの分野においても大きな貢献をしている。豚の繁殖に関しては、同教授は、イギリスにおいて豚の人工授精の実験を行った最初の研究者であった。同教授は性周期の調節技術を開発し、受精や胚の早期発育の実験も行っている。最近では、胚移植や体外受精の研究にも手を染め、初期胚の凍結保存技術の発達はいまやほとんどの家畜で応用可能となっている。

 以上のように、比類のない深さと広さで、超低温における家畜の精子や胚の保存技術の開発に貢献したポルジ教授の功績は、「生物生産の科学と技術」の分野において、本年度の日本国際賞を受けるにふさわしいものである。

Google
Japan Prizeサイト内検索
インターネット検索

受賞者

Japan Prize 30年の歩み

page top