歴代受賞者

1993年(第9回)日本国際賞受賞者

安全・防災分野
近代地震学の発展並びに災害科学における国際活動の推進

 

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フランク・プレス博士(米国)

全米科学アカデミー総裁
1924年生まれ
授賞理由

 プレス博士は、卓越した地球物理学者である。複雑な地震波に含まれるいくつもの位相に対して科学的な解釈を加えることによって、地球の内部構造に関する新しい情報を提供したことは、地震学における同博士の大きな貢献である。すなわち、長周期の表面波の解析から地殻及び上部マントルの構造が明らかにできることを提案し、数学的モデルの構築により、地殻内の地震動や地球内部の構造に関して先駆的な研究を進めた。また、地震が断層運動そのものであることを表面波の解析により実証し、その後の震源過程の研究に先鞭をつけた。これが、近代地震学の始まりとなった。

 更に、プレス博士は、理論を地震記録の解析によって裏付けるため、長周期の表面波を記録できるプレス・ユーイング式電磁地震計を開発し、同博士自身が提唱した国際地球観測年(1957~1958年)の間に世界10ヶ所に配置した。これは現在世界120ヶ所で稼働している世界標準地震計観測網の原型となった。世界標準地震計観測網による長周期地震波の記録は、地震の震源過程や地球内部の構造の研究に今も貴重な資料を提供している。

 これらの地球物理学、地震学における学問的業績に対し、プレス博士は1982年、それ以前のもっとも若い受賞者より14歳若い58歳で第7回米国地震学会賞を受賞した。同博士は、プリンストン大学をはじめ28の大学から名誉学位を受けており、その業績により、南極のプレス山が命名されている。

 プレス博士の科学者としての経歴は、1952年コロンビア大学に始まり、1957年カリフォルニア工科大学、1965年からはマサチューセッツ工科大学に在職した。同博士は、カーター政権下において大統領の科学顧問を務め、1981年全米科学アカデミー総裁に選任され、1987年再任されて現在に至っている。

 プレス博士は、津波警報、自然災害軽減、地震予知の必要性を早い時期から指摘し、米国における地震予知の推進者である。1984年に同博士は、今世紀最後の10年を世界中から地震、洪水と渇水、火山、地すべりと山崩れ、風災害、野火などの自然災害の被害を軽減する10年にしようという提案をした。これは1990年に開始された国連プログラム「国際防災の十年」として実現したが、プレス博士は、その準備期間中、国連の専門家会議の議長として、多数の異なる意見の取りまとめに努力し、この計画を世界的な運動とすることに成功した。対象が全く異なる地球上の自然災害の国際的軽減活動を同博士がまとめ上げたことは誠に偉大なものがある。

 以上述べたように、フランク・プレス博士は、地球物理学の分野で先駆的な成果を示した研究者であると同時に、米国における地震予知等の災害軽減計画を推進した。更に、国際地球観測年、世界標準地震計観測網の提案に見られるように、災害科学に国際協力の必要性を早くから認め、現在も「国際防災の十年」実現の推進者として活躍を続けている。

 フランク・プレス博士は近代地震学の進歩のみならず、災害軽減の国際協力及びそれらを通して人類の平和と繁栄に著しく貢献した。よって、プレス博士の業績は1993年(第9回)日本国際賞にふさわしいものである。

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