歴代受賞者

2012年(第28回)日本国際賞受賞者

「環境、エネルギー、社会基盤」分野
世界最高性能Nd-Fe-B系永久磁石の開発と省エネルギーへの貢献

 

インターメタリックス株式会社 代表取締役社長
1943年生まれ

授賞理由

 佐川眞人博士は、それまでの磁性材料研究とは全く異なる視点から新しい永久磁石材料の研究に取り組み、1982年、従来のSm-Co(サマリウム-コバルト)系磁石の約2倍もの最大エネルギー積が得られるNd-Fe-B(ネオジム-鉄-ほう素)系磁石の組成を発見した。しかし、当初は温度が上がると急速に保磁力が低下すること、極めてもろいこと、使用中に酸化され性能が損なわれることなど、実用化には各種の克服すべき問題があった。そこで、佐川博士は高温でも保磁力を保つための添加元素の探索と添加量の最適化、高い機械強度を持つ焼結磁石とするための製造技術の開発、酸化を防ぐための表面加工技術の開発などの努力を重ね、この素材を広く使用できる工業材料として完成させた。このNd-Fe-B系磁石の他の磁石材料に対する優位性は大きく、今後もこれに勝る永久磁石材料は容易に現れないと見られている。

 佐川博士が開発したNd-Fe-B系磁石を用いたモーターは、従来の誘導モーターに比べ小型軽量で高い効率を得られることから、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、エレベーター、運搬機、工作機械、建設用重機などに広く用いられ、省エネルギーに大きく貢献している。世界の電力需要の中でモーターの占める割合は高く(2005年時点、我が国では57%)、従来型モーターからNd-Fe-B系磁石を用いた高効率モーターへの置き換えは、相当の電力節約につながることになる。さらに、地球温暖化対策、新エネルギー技術として期待が高い風力発電の高効率発電機にも広く使用されているほか、近年急速に普及しつつあるハイブリッド自動車や電気自動車のモーターのすべてに使用されるなど、省エネルギー、CO2排出量削減への貢献はますます増大しつつある。

 また、Nd-Fe-B系磁石は、小型・高機能が要求されるコンピュータ用ハードディスクのボイスコイルモーター、携帯電話のスピーカーなどにも広く利用されている。さらに、Nd-Fe-B系磁石によって実現した冷却を必要としない小型の強力磁界発生装置により、医療用MRIは、大幅な小型化さらには低価格化が進み、普及が拡大することとなった。 なお、佐川博士は、企業の枠にとらわれず大胆な着想を持ち、深く基礎研究に打ち込むとともに、大学などの研究者との研究コミュニティーを構築するなど、この分野の研究推進に多大な貢献をしてきた。また、企業人として実用化までの技術開発を精力的に行ない、本技術の普及を実現したその活動は多くの人の尊敬を集めている。 以上、佐川眞人博士の業績は、「環境、エネルギー、社会基盤」分野への貢献を称える2012年日本国際賞にふさわしいと考える。

【業績解説文】

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