歴代受賞者

2013年(第29回)日本国際賞受賞者

物質、材料、生産分野
半導体製造に革新的なプロセスをもたらした化学増幅レジスト高分子材料の開発

テキサス大学オースチン校 教授
1939年生まれ
アブドラ国王科学技術大学 副学長
1944年生まれ
授賞理由

 ウイルソン博士、フレシィエ博士は、故伊藤洋博士とともに、半導体に微細な回路を刻むリソグラフィーの技術要素として「化学増幅レジスト」を開発することにより、半導体製造におけるリソグラフィー技術に、革新的な進歩をもたらした。今日のパソコン・携帯電話をはじめとする電子機器や車などに搭載されているマイクロプロセッサーやメモリーチップは、ほとんどすべて「化学増幅レジスト」を用いた方法によって製造されており、情報化社会の発展に多大な貢献を果たしている。

 IBMサンノゼ研究センターにサバティカルで滞在したフレシィエ博士は、当時同研究所に在職したウイルソン博士、故伊藤洋博士らとともに、半導体製造プロセスに不可欠の回路画像を形成する高分子において画期的な「化学増幅レジスト」を用いた新しい技術を、1980年代初めに提唱した。これは、画像形成のための高分子の変換反応を高感度化するために、光酸発生剤と酸により連鎖的に分解する極性基を有する高分子の混合物を用いる方法である。当時、半導体製造にフォトレジストを用いる事は一般的であったが、従来法の遅い処理速度と加工の微細化に限界が近づき、新しいプロセスの開発が待たれていた。「化学増幅レジスト」の開発は半導体の超微細化と生産工程の高速化に極めて大きなインパクトを与えた。その後、具体的な技術の実装と新規高分子材料の開発が進められ、この概念に基づく微細加工プロセスが1980年代に実用化され、さらに90年代には多くの企業にライセンスされた。

 「化学増幅レジスト」法は、光により発生した一つの酸が数百から数千の反応を次々と続けることができるようにレジスト材料が設計されており、きわめて高感度である。高解像度実現のためにはできるだけ短波長の光を使うが、これらの光源は現状ではきわめて弱い光しか出せない。本法ではこのような光源でも商業生産できる高感度のプロセスが達成されている。レジストのさらなる高感度化により画像形成のための光照射時間が短縮でき生産性が著しく向上した。このため、「化学増幅レジスト」法は半導体製造の標準方式となり、現在も半導体製造における必須の技術を提供し続け、情報化社会の発展に多大な貢献を果たしている。

 このように、両博士らにより開発された「化学増幅レジスト」技術は、人類の生活・産業の質の向上に貢献し続けており、「物質、材料、生産」分野への貢献を称える2013年日本国際賞にふさわしいと考える。

【業績解説文】

 

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