ストックホルム国際青年科学セミナー

1993年派遣学生 佐野レポート

 ストックホルムより帰国して、今回のSIYSSに参加して学び得たことを振り返ってみると、本当にいろいろな貴重な事を得ることが出来たと思います。それらを挙げてみると、まず第一に、14か 国からの国々を代表するような科学技術系の学生達や今プログラムにおいて国際交流に貢献するスウェーデンの学生達と知り合う機会を得たこと、第二に、ノーベル賞式典という科学者にとっては特別な意味を持つ最高の式典に出席する機会を得たこと、そしてその中でノーベル賞受賞者達と短時間ながらも会話を持つ機会を得たこと、第三に、多くのスウェーデンの進んだ大学および研究所を見学出来たこと、第四にスウェーデンという日本と異なる文化の中で生活できたこと、等々、いずれも非常に刺激的で、将来国際的な科学者として身を立てて行こうと考えている私にとって、実際役に立ち、そして励みにもなる経験でした。

 今回のSIYSS参加国は14か国、オーストラリア、ベルギー、カナダ、ドイツ、イギリス、クウェート、オランダ、ノルウェー、プエルトリコ、スペイン、スウェーデン、スイス、アメリカ合衆国、日本で、多い国で学生5人、少ない国で学生1人が本プログラムに派遣され、計30人の選ばれし学生が12月初旬のストックホルムに集合しました。内7人はスウェーデン人でしたが、その7人の内5人が今回のSIYSSコーディネーターとしてプログラム中の全ての事について私達の面倒を見てくれました。また、日本からの参加者は私と学習院大学4年生の野原さんの二人でした。各国から集まった学生達がどのような選考で選ばれたかは国によって異なっていましたが、多くはそれぞれの国の科学学生会議の代表であったり、研究のコンテストで優秀な成績を勝ち取った若者達で、年齢層は17歳から28歳と幅がありましたが、皆、年齢差などは気にも留めず仲の良いグループになることが出来ました。いずれも個性的で面白い人々でしたが、例えばその内一人を簡単に紹介すると、旧東ドイツから来ていた19歳の学生がおり、彼には東西ドイツ融合により生じた問題やそれに対する彼の考えを話してもらったり、また、彼が高校生の時行った研究を2時間かけて説明してもらったことがありました。その研究というのは、ある有機化学合成を行いそれをNMRで分析した結果および考察でした。その研究成果は専門誌にも掲載され、内容も高校生の仕事とは信じられないもので、大学生の卒業論文以上のもので大変驚いた記憶があります。彼はその研究によってドイツ国内のあるコンテストに勝ち、SIYSSにやって来ました。他にも私を様々に驚かせた人々は多く、皆、将来はそれぞれの国を背負って立つような重要な人物になってゆくことでしょう。彼らとの交友は末永く続けたいと思っています。

 今回のSIYSSで はスウェーデンの最も歴史のあるウプサラ大学見学や、ノーべル生医学賞を決定しているカロリンスカ研究所、ノーベル物理学賞及び化学賞を決定しているスウェーデン王立科学研究所などの見学、ノーベル文学賞、物理学賞、化学賞の今年度受賞者達の講演聴講、ノーベル財団による受賞者達のためのレセプション参加、そしてノーベル賞授与式出席、その後の晩餐会、舞踏会参加と、あまりにも特別な、そして刺激的な行事の連続でした。このような行事に参加できる自分の幸運に驚くことはもちろんですが、これらの行事を包括する特別な国際交流活動にスウェーデンの学生達が大きく貢献している姿にも大いに心を打たれました。 世界的な国際交流の重要性がますます高まりつつある今、このような特別な国際交流プログラムを学生達が引っ張っていっているということに大きな印象を受けたのです。

 もちろん一連のノーベル賞の行事に参加したという体験も忘れられないものでした。その中でも特に、ノーベル財団のレセプションにおいて、PCR(ポリメラーゼ・チェイン・リアクション)を発明してノーベル化学賞を獲得したキャリィ・B・マリス先生に科学に対する彼独自の哲学を暫くの間聞かせてもらい、その後一緒に写真を撮らせていただいたことはたいへんな記念になりました。また、ノーベル賞授与式および晩餐会は、(ストックホルムでは物理学賞、化学賞、生医学賞、経済学賞、文学賞の授賞を一度に行う。)受賞者のスピーチあり、音楽あり、パフォーマンスありで、荘厳であると同時に見事なほど美しく、その様子は私の想像を遥かに上回るものでした。

 SIYSSプ ログラムの期間は一週間と短いものでしたが、私には一ヵ月以上ストックホルムに滞在していたような感じを受けるほど密度の濃いものでした。しかし、その時の経験を過去のものとせず、この時学び得た数々の事を忘れず、そしてその経験を実際役立ててゆく方法を考えることが現在の私の課題と思っています。


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