ストックホルム国際青年科学セミナー

2004年派遣学生

写真橋本 興人
東京大学
新領域創成科学研究科情報生命科学専攻
2004年度SIYSSを終えて
 2004年12月12日、夢のような1週間が終わった。ストックホルムでのあの1週間が現実であったことを確かめると共に、そこでの貴重な体験や感想を少しでも皆さんに伝わるようにここに書き記したいと思う。

 SIYSS2004の応募は実際の出発の約4ヶ月も前の8月、夏真っ盛りな時期に学校の専攻のメーリングリストに募集のメールが回って来た。普段なら、一目見て流すことが多いのだが、「メールの内容にノーベル賞授賞式などに参加してみたい方は是非チャレンジを」と書いているのが目に留まった。次の瞬間から私はネットでSIYSSについて調べていた。応募しない理由がない!!僕は即、担当の先生に連絡をとり、小論文の作成に取り掛かった。

 選考は1次と2次あり、2次面接では小論文と日本語・英語での面接があったが、終始和やかな雰囲気で面接を終え、こんな感じで大丈夫かな、といささか不安に思いながら結果を待つのみであった。
9月下旬、選考結果の通知が届いた。思わず自宅で一人でガッツポーズ。この時は、まだ実際にはそれほど実感が沸いてなかったが、とにかくSIYSSへの参加が決定し心が躍ったのを憶えている。

 10月下旬には、財団の方の計らいで、旅行社や以前の参加者から現地についてやSIYSSのプログラムについてなど具体的にお話をお聞きするも、やはりまだ1ヶ月以上先のことであり実感が沸かないまま出発2週間前を迎えた。

 

 この時期から、いよいよ準備に焦り始め現地での研究発表用の資料、余興での出し物、荷造りなどを、結局慌てて準備をするはめになってしまった。それでも、何とか無事準備を整え、12月4日ストックホルムに旅立った。
現地でのプログラムは事前に想像していたよりも遥かに、濃密で充実したプログラムを提供してくださった。まず初めに感心したことは、自分よりも年の若い現地のコーディネーター方(5人)が世界17カ国から来た25名の若者を引き連れ、このハードスケジュールを見事にこなして行く様であった。彼らは自分の寝る時間も惜しみ、参加者のことを考え、いかに充実した1週間を過ごせるかを毎日考えてくれていた。彼らの努力が無ければ、決してあの夢のような1週間は過ごせなかったであろう。

次に現地で感じたことは、スウェーデンの市民を含む国をあげての、科学への興味、取り込みの熱心さである。ノーベル賞授賞式当日の市民の盛り上がり方、式自体の豪勢かつ荘厳な有様はもちろんのこと、ノーベル賞に対する彼らの誇りや熱意、また町と融合するように大量に存在する大学施設から感じられる町全体を包むアカデミックな雰囲気、地元高校生の科学への興味とそれを支援する環境、そういったもの全てが重なりスウェーデンという国の科学のレベルの高さが現れていると思う。

 また、今回のセミナーで感じたもう一つの大きなことは、他の国からの参加者の研究者としての成熟度である。今回の参加者のほとんどは皆、高校卒業したての19~20前後の若者で、私はもちろん最年長であった。それにもかかわらず、皆分野は異なるものの独自のプロジェクトをしっかりと持っており、研究についての議論になると深い内容の議論を次々と展開する。この時は僕と彼らの間に全く年齢の壁は無かった。お互い、一研究者の卵として興味深い議論を交わした。また、この時ふと日本の同年代の若者を思い浮かべ、日本の今後の科学に対して一抹の不安を覚えるものであった。もちろん、日本にも若くして非常に優秀な研究者の卵はいる。しかし、彼らが受験戦争という特殊な環境の中その能力を遺憾無く発揮させることができる環境は整っているのであろうか?また、大学へ入る際に漠然とでもいいから自分の学びたいことをしっかりと持って進学する生徒はどれくらいいるのか?

 また、これは以前から感じていたことだが、やはり今回も英語力の無さを痛感させられた。ネイティブじゃないから、そんな言い訳は通用しない。参加者のほとんどは母国語は英語ではないにもかかわらず皆流暢に英語で議論を交わす。科学の世界(今やどの分野でもと思われるが)では英語が共通語である。ここでもやはり、自分を含め、日本の科学の将来を心配せざるを得なかった。

 

 もちろん、海外に行くと日本の悪い面と同時に良い面もたくさん再認識できる。今回の旅でも、日本を含め多いにアジアの文化、気質の素晴らしさを感じることができた。

 以上、自分自身まだまだ未熟で学ぶべきことが多くあるが、このような貴重な体験から得られた経験を活かし、今後の自分の成長と共に、将来何らかの形で日本に貢献できるような人物になりたいと再び強く思わせてくれる旅でもあった。


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