ストックホルム国際青年科学セミナー

2005年派遣学生

写真熊谷 杏子
上智大学大学院理工学研究科応用化学専攻
SIYSS参加を通じて感じたこと

 12月4日から10日までのいわゆる"Nobel week"を、SIYSS(ストックホルム国際青年科学セミナー)2005の日本人参加者のひとりとしてスウェーデンで過ごしました。その中で非常に貴重な経験を数多くさせていただいたこと、またそこから得たことや学んだことをここに記したいと思います。

 1週間のなかで、ノーベル賞受賞者の記者会見や記念講義から授賞式までの一連の行事に加え、博物館や研究機関の見学、王子・王女様との謁見まで果たすという、本当に盛りだくさんのスケジュールでした。朝8時にユースホステルを出発し、夜11時頃帰ってくるまで1日に3~4ヶ所を訪れるのですが、朝9時から午後3時以外は外は真っ暗、日中もほとんど曇りという冬の北欧独特の気候では、貴重な写真がなかなかきれいに撮れず苦労しました。しかし、クリスマス直前ということもあって街のイルミネーションがとても美しく、合間には伝統的なサウナやスウェーデン料理を楽しむこともでき、寒さや疲れを忘れるほど毎日がワクワクの連続でした。

 16カ国から集まった25人の参加者と共に過ごすなかでは、南アフリカやセルビアといった交流の機会が少ない国々の文化や考え方も知ることができました。また、参加者のほとんどが18~22歳であったにもかかわらず、専門分野と自分の研究をしっかり持っており、それを堂々と英語でプレゼンテーションする力があることに驚かされました。同時に自らの研究の客観的な位置付けができた一方、世界中の科学者とコミュニケーションを図る上での種々のスキル不足を実感し、今後の研究活動に是非活かしていきたいと思いました。さらに地元の高校生とも、研究発表やワークショップといった形でサイエンスをベースとした交流があり、スウェーデンの科学に対する意識の高さと優れた環境を伺い知ることができました。これらは全て、以前経験したアメリカ短期留学などでは知り得なかったことであり、日本人として、また科学に携わるものとして視野を大きく広げることができたと感じています。

 ノーベル賞関連の様々なイベントに参加して強く感じたことは、受賞者を特別扱いするのではなく、そこに集まった皆で祝い、称えるとともに、その喜びを共有しようという雰囲気があることでした。記者会見やレセプションの場では、受賞者の方々が私たち学生を含め誰の質問にも気さくに答えてくださる姿が印象的かつ感動的でした。物理学賞のJ. L. Hall氏や化学賞のR. R. Schrock氏からは研究に対する姿勢や情熱について直接お話を伺うことができ、医学生理学賞のJ. R. Warren氏や、招待されていた科学者の方々とは日本の話題で話がはずんだりもしました。これらの経験は、日本の理工系学生として非常に光栄なことであり、私なりに人々に役に立つような研究ができるよう今後一層努力していかなければと改めて思いました。

 このハードかつすばらしいスケジュールを綿密に組み、25人全員が滞りなくこなせるように常に最大限の努力と配慮をしてくれたスウェーデン人のコーディネーターたち8人には、感謝の気持ちでいっぱいです。現地ではSIYSSの存在はかなり広く知られており、彼らにはその責任と誇りがあるということ、またこうした活動を積極的に支援する風土がスウェーデンにはあることをここにも強く感じ、素晴らしいことだと思いました。最後になりましたが、このような貴重な機会を与え、応援してくださった多くの方々に感謝いたしますと同時に、この経験と感動を活かし、社会と科学のよりよい発展に貢献していけるような研究者になりたいと思います。


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