ストックホルム国際青年科学セミナー

2006年派遣学生

写真カウル・ジニア
国際基督教大学教養学部理学科生物学専攻
 

 幸運にも私はストックホルム国際青年科学セミナー(SIYSS)に日本代表として参加することができました。SIYSSは若い科学者の為のセミナーで、スウェーデンのストックホルムで催されたノーベル賞週間行事の一環として設けられたプログラムです。2006年12月4日から11日までの1週間をこのセミナーに参加することが出来た事は本当に素晴らしい体験でした。

 SIYSSの選考は2006年6月30日から始まりました。選考条件として求められていたのは、日本国際賞授賞対象分野の研究に携わっていること、科学技術への興味と探究心のあること等々でした。国際基督教大学における選考の結果、私の申請書を選んでいただき提出して頂いたことに深く感謝しております。

 しかしながら、それはまだ選考の第一段階であり、次に国際科学技術財団(JSTF)による厳しい審査がありました。1ヶ月後に、財団からの通知が届きました。それには「あなたは候補者の中から、今後の選考段階に進む10人のうちの1人に選ばれました。今後、選考会場において与えられた話題に関するエッセイでの審査を行ない、それを通過した場合に最終面接を行ないます。」という内容が書かれていました。幸運なことにいくつかのアイディアが私の頭に飛び込んできてエッセイをまとめることができ、最終的に選ばれることが出来ました。

 ここからが興奮の始まりでした!世界のトップの方々との直接の面会は言葉では言い尽くせない感動がありました。フォーマル、インフォーマルな会合がありましたが、どれも素晴らしいものでした。その上、ノーベル賞受賞式にも出席させて頂き、その夜の晩餐会と舞踏会は私の想像を遥かに超えるものでした。国際科学技術財団にはこのような素晴らしい機会を与えていただいたことに感謝しています。

 今回のセミナー参加にあたり、準備は大学の試験が終了した11月からとりかかりました。フォーマルとインフォーマルの服(破けたジーンズやだらしがないジャンパーではないもの)を買いに行くのはとても楽しい経験でした。より日本の印象を強めるため、フォーマル用にはこの国を象徴する民族衣装である着物を着用することにしたのですが、これは思うほど簡単なことではありませんでした。試行錯誤の果てに幸運にも友人のお祖母さんがワンタッチの着物を仕立ててくれたので15分ほどで着付けをすることができました。2006年12月4日の出発に備えた準備(20kgを超えないように全ての持ち物を1つのスーツケースにつめる)が次の課題となりましたが、手荷物を重くすることで解決することが出来ました。フランクフルトを経由して、ようやくストックホルムのアーランダ空港に到着しました。参加者はコーディネーターから到着後のことに関する丁寧な図入りの案内をいただいておりましたが、これが主催者側のよく考えられた計画の一端であることがセミナー期間を過ごすうちに分かりました。

 12月4日の初日は ‘Af Chapman’ユースホステルに宿泊しました。この時に初めて世界16ヶ国22名の参加者と8名のスウェーデンの若手コーディネーターの方々と対面しましたが、非常に国際的な一日を過ごすことが出来ました。翌日は新しい友人達とストックホルムの歴史的建造物やノーベル博物館などを訪れ、また様々な話題について議論を交わしました。その日の夕食に頂いたスウェーデン料理はとてもおいしく、忘れられない味となりました。6日にはスウェーデンの高校生、スウェーデン王国アカデミーの教授、研究者の前で参加者全員が自分の研究について発表する機会がありましたが、参加者たちはみな非常に熱心で、アイディアと情熱にあふれておりました。私はこの機会に他の参加者達から多くのことを学び、視野を広げることができたと思います。

 SIYSSはノーベル財団の一部でもありますので、ノーベル財団とその役割についてカロリンスカ研究所の Hans Jornvall氏に紹介していただきました。毎年、ノーベル賞を授与するという仕事には重大な責任があることが理解でき、また、とても啓蒙的で印象的なお話を伺うことが出来ました。大きなハイライトとして挙げておきたいものとしては、スウェーデンで最も歴史ある大学であるウプサラ大学の見学や、王国宮殿、ビクトリア女王への謁見、そしてなによりもノーベル財団によるレセプションへの参加、受賞講演、記者会見、受賞式典がありました。ノーベル賞受賞者たちと語り合い、彼らの業績を祝えた事にとても感動しました。Craig C.Mello教授とAndrew Z. Fire教授(2006年ノーベル医学生理学賞受賞者)と個人的に話をする機会がありましたが、私は教授達の「RNAi」について勉強しておりましたので、ことさら教授達の関心の深さとその分野における膨大な経験に触れることが出来て感激しました。私が関わっている分野においてノーベル賞受賞となる業績の歴史を目の当たりにすることが出来たことで胸が躍るような高揚感に包まれました。

 この後に受賞式典への参加や晩餐会、ナイトキャップについての説明を受けました。私たちは日本の伝統的な衣装である着物を着て日本的な感じを演出しましたが、これはとても良いことであったと思います。午後にはローブ・デコルテや燕尾服を身に纏った参加者達が高級リムジンに乗せていただき、式典、晩餐会、ナイトキャップに参加させていただきました。全ての出来事が本当に夢のように感じられました。着物を着てノーベル賞受賞者とダンスをしたことは、たどたどしくも楽しい経験でした。スウェーデン皇族の方々をはじめとする世界の偉人方や、世界中から選び抜かれた優秀なSIYSS参加者などと同席できた事に、畏敬の念に通ずる感動を覚えました。

 この他にとても印象的だったのは、コーディネーターの方々が参加者の為に余暇やアクティビティのプログラムを組んで下さっていたことです。全てのプログラムが、私たちにとって勉強になり、刺激を受け、さらに楽しむことができるように組まれていました。グループでスケートをしたり買い物をしたり、外交官の方々と話をする機会があったり、様々な国から来た人と触れあうことによって国境を越えた友情を築くことができました。中でも私がとても楽しいと感じたことは、日本でお正月に行う伝統的な遊びである「福笑い」を国際交流のセッションで披露することが出来たこと、そして参加者の皆さんが楽しんでくれたことです。SIYSSの活動は、単にノーベル賞のイベントに参加するだけではなく、経験や研究への興味を共有したり、国際的な人間関係を築いたり、大きな刺激を与えてくれる機会を設けてくれるものであると感じました。私の夢は科学の道で成果を上げることですが、このセミナーに参加したことは、とても有意義で、刺激を受けましたし、私の今後のキャリアにとっても大きな意味があったと思います。偉大な成果の歴史を体感することが出来、その歴史的な場面に参加することができたことを誇りに思います。さらに、外国で生まれた私としましては、国際的な国として日本を他の国々の人に示すことができたことも嬉しいことでした。


Japan Prize歴代受賞者による社会貢献

ストックホルム
国際青年科学セミナー

Japan Prize 30年の歩み

page top