ストックホルム国際青年科学セミナー

2007年派遣学生

写真中田 有貴
上智大学大学院理工学研究科電気・電子工学専攻
 

 私は今回、ノーベル賞受賞式が行われるまでの一週間(Nobel Week)を、世界から集まった科学を志す学生と共にストックホルムで過ごすSIYSS(Stockholm International Youth Science Seminar)に派遣されました。セミナー期間中は、世界16カ国から集まった25人の仲間と共にストックホルム市内の有名なユースホステルに宿泊し、国際的な一週間を過ごしました。この時期のスウェーデンは、朝9時にようやく明るくなり午後3時ごろには暗くなり始めるという具合にとても陽が短いのですが、ストックホルムの街並みは夜が似合うクリスマス仕様となっており、どの家の窓にも伝統的な星型のランプやキャンドルが飾られていて北欧の心温まる素敵な冬の街並みも味わう事が出来ました。ノーベル賞受賞式典までの一週間、ストックホルムのノーベル博物館や研究機関への訪問、宮殿の見学、ノーベル賞受賞者による講義や記者会見にも参加させて頂くなどアカデミックな一週間を過ごすにつれ、ノーベル賞授賞式への期待も日に日に高まっていきました。またその他にも、世界から集まった仲間と共に、料理やダンスの練習、野外スケートやスウェーデン式サウナを体験、などと朝早くから夜遅くまで目一杯のスケジュールで大変充実した毎日を送りました。以下に,この経験を通じて私が感じた事をいくつか記述したいと思います。

 日本と比べスウェーデンの方々の科学に対する興味関心は非常に高く、SIYSSメンバーが自研究について英語で発表を行ったプレゼンテーションには、200人を越える地元の方が出席して下さり、休憩時間には研究の話題で話が弾む場面も見られました。このような意識の高さは、地元の高校生たちとの交流でも知る事が出来ました。「限られた時間内に与えられた材料を使って出来るだけ遠くまで走る車を作り競い合う」というゲームで、私は4人の元気で明るい高校生たちとチームを組みましたが、ゲームが始まった瞬間から彼らはあちらこちら走り回り、様々な角度から検証を重ね、全力投球で車作りに没頭していました。その旺盛な好奇心や、まっすぐにやりたい事を追求する真剣さ、科学的な視点でモノを見る成熟度の高さなど、驚かされる部分が沢山ありました。そして何よりも楽しんで学ぶことが身に付いているという素晴らしさを感じました。

  世界の学生たちとの交流だけでなく、ノーベル賞関連のイベントに参加出来るというのがSIYSSの大きな特徴です。記者会見や授賞式前日のレセプションでは、受賞者の方々と直接お話出来る機会もありました。受賞者の方々の空気に直接触れ、それは決してすごく特別というわけではなく、それぞれの方が自身の研究に誇りを持ち、続けてきた一科学者なのだと、身近に感じる事が出来ました。

 そして最大のイベントは、何と言ってもノーベル賞受賞式典への出席です。式典へは、男性は燕尾服・女性はイブニングドレスと最もフォーマルな服装で望みます。私たちは、日本の伝統衣装である着物と袴を着用したため、道行く人々に声をかけられる事も多く、やはり着物や袴は日本の誇るべき素晴らしい伝統なのだと改めて感じました。市庁舎のConcert Hallで行われた式典では、ノーベル賞という最高に名誉な賞を受賞される、感動的な瞬間に立ち会う事の出来る喜びで胸がいっぱいでした。式典の後も、受賞者や王室一家を含む1300人の人々が集まりBlue Hall での華やかな晩餐会、Golden Hallでの舞踏会、ストックホルム大学でのパーティ、と未だかつて体験したことのない驚きと喜びに満ち溢れた一夜を楽しみました。明け方までこの盛大なお祝いは続き、そしてSIYSSも幕を閉じました。

 このノーベル賞授賞式の様子は、ストックホルムでは生中継されるほどの一大イベントであるにも関わらず、日本ではアメリカ元副大統領のゴア氏が受賞したノーベル平和賞のニュース以外、ノーベル科学賞のニュースはほとんど流れなかったそうです。ここからも、日本の科学への関心の低さが伺えます。また、同じSIYSS参加者のたちとの交流によって気付かされた事は、彼らの興味関心の幅が専門分野意外にも広いという事です。科学以外にも、自国はもちろん他国の歴史・宗教・経済など何に関しても興味を持ち、話をします。これは自から率先して興味のある事を追及出来る教育環境の賜物だと思います。受験国家で受け身になりがちな日本における教育の問題を客観的に見ることとなりました。そして個人的には、英語力や世界情勢に関する知識不足など自身に足りないものを痛感しました。

 最後に、この1週間を無事に過ごせるよう、最大の配慮を配り、私たちに素晴らしい思い出をくれた11名の優しいコーディネータの皆さんにこの場を借りて感謝を申し上げたいと思います。そして、私たちを派遣し貴重な機会を与えて下さった日本国際科学財団の方々や私の周りの全ての皆さんに大変感謝し、ここに深く御礼申し上げます。

  世界の科学を志す学生たちと共に過ごし、大変貴重な体験をした今回のセミナーは生涯忘れられない思い出となり、また世界から見た日本というものを客観的に考える大きなきっかけとなりました。ここでの経験を胸に刻み、今後の科学技術の発展に少しでも貢献出来るよう精進したいです。


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