ストックホルム国際青年科学セミナー

2008年派遣学生

matsushita松下 麻衣
神戸大学大学院医学研究科バイオメディカルサイエンス専攻
 

  日本人によるノーベル賞受賞が多数揃った記念すべき今年、私はストックホルム国際青年科学セミナー(SIYSS)の日本代表者の一員として、受賞者から科学に対する思いやパイオニアとなる研究者の心得を学んできました。

  受賞者による記念講演では、各研究が世に送り出されるに至る経緯やひらめきの瞬間、さらに科学界のパイオニアとしての助言などを聞く事ができました。家族の影響や切磋琢磨した学生生活、良き先生や仲間との出会い、そして決して順調ではなかった研究環境など意外な一面も発表され、心を打たれました。物理学では、30年かけて実験的に仮説を証明した益川先生が忠実に自信を持ち、定めた目標に向かう姿勢を忘れないことの大切さを述べ、小林先生は世界における日本人研究者の存在と貢献を強調されていました。さらに、益川先生と小林先生は一瞬のひらめきが発想の転換に繋がったという事実を明かし、考え方の柔軟性を高く評価していました。一方、医学では、過酷な競争の中で競争者と違った観点を持ち、ツア・ハウゼン先生のように時には既存の理論を覆す大胆な発想が重要であると述べていました。また、世界中の科学者と共同研究を通じ、より視野を広げることが容易になった現代のグローバル社会をうまく活用することで飛躍となる成果を生み出せると助言を頂きました。また、化学では、評価されなかった不遇の時代でも初志貫徹した下村先生がGFPの発見に至ったことで信念を貫く重要性を力説し、GFPを応用したバイオイメージングのパイオニアであるチャルフィ先生が分野外の研究に視野を広げるなどの柔軟性やいち早く情報を吸収する能力が科学界のパイオニアへの第一歩であると強調されていました。

  講演や対談より、受賞者らが異口同音に述べておられたのは、既存の理論に固執せず、時には大胆な観点を取入れることが科学技術の更なる発展へと繋がるということでした。忠実に目標に向かう姿勢を絶やすことなく、一方で分野外の研究に着目し、柔軟性に優れた吸収力を有することが科学界におけるパイオニアの基盤であると同時に、研究生活は環境によって左右される為、良き指導者や共同研究者を選ぶことの重要性を教えて頂きました。

  私はSIYSSを通じて、科学者を志す者としてとても貴重な体験をさせて頂きました。一介の学生の研究に興味を持って耳を傾け、質問してくださったチャルフィ先生に驚きも然ることながら、アドバイスを下さるに至ってはとても光栄でありました。SIYSSで出会い、お世話になった方、ランチレセプションにお招き頂いたスウェーデン日本大使館の皆様、若手研究者の取材をしてくださったNHKの方々、そしてこのような機会を与えてくださった、国際科学技術財団の皆様に心より感謝致します。私は今後、世界で活躍できるような科学者を目指す上で、この経験を活かし、一人でも多くの人に役立つような実績を残していけるよう、日々研鑽していきたいと思います。


Japan Prize歴代受賞者による社会貢献

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Japan Prize 30年の歩み

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