ストックホルム国際青年科学セミナー

2009年派遣学生

matsushita吉川 真由 
京都大学大学院生命科学研究科総合生命科学専攻
 

 この度ストックホルム国際青年科学セミナー(SIYSS)に参加し、何よりも自分の研究を楽しむことや、年齢や国の枠を越えて科学を議論することの大切さを学びました。

 将来遺伝子研究において貧困問題を解決したいという夢を持ちながら、研究生活に行き詰まりをみせる日々が続いていました。そんな中、本年度のノーベル賞の受賞は自身の専攻に深い関連のある「リボソーム」、「テロメア」であり、また受賞者全体の5名を女性が占めるという意味深いものでした。

 受賞者による講演会では、各受賞者の研究経緯や、受賞内容を聴くことが出来ました。中でも、不可能とされていたリボソームの結晶化に成功されたヨナット先生の粘り強さには圧倒されました。レセプションにおいては受賞者の方々と直接お話させていただき、ラマクリシュナン先生が「『ノーベル賞の受賞が無かった方が幸せだった』と感じるくらい僕たちは楽しんでいたんだよ」とおっしゃったことは衝撃的でした。「父親は本当に実験が好きだった」とおっしゃったカオ先生の息子さんの言葉や、ショスタク先生に頂いたアドバイスからも、実験を楽しむことこそが研究を続ける情熱であり、素晴らしい結果に結びつくと学びました。実験のほとんどが失敗で、その度に仲間と語り合ったことが発想の転換に繋がったとおっしゃったブラックバーン先生、専攻分野を変えることを躊躇する必要はないとおっしゃったボイル先生から、議論を通し固定観念を取り払う柔軟性を再認識させられました。

 同様のことは今回の受賞者の経歴にも通じると思います。科学はもはや一カ国ではなく、これからは国際的に研究を発展させていくものです。そんな中、英語での議論は当然であり、あらゆる文化背景の人々との議論が研究を活性化させると学びました。

 このように、今回の素晴らしい受賞に見られるような素晴らしい「発見」(Discovery)に与えられるのがノーベル賞です。そして選考委員長の言葉にもあったように、その発見を発展させ、活用に至らせる研究は同様に重要であることも忘れてはいけません。受賞にあった光ファイバーやCCDカメラが、今日にいかに役立っているかを見れば、なるほどと納得させられました。

 SIYSS 2009の参加者は19カ国からなる25名であり、そのほとんどが私よりも年下でした。しかし、セミナー発表において、学部生のうちから皆研究テーマをきちんと持っていることに感心させられました。さらに年齢という枠を取り外した議論が出来る科学の世界に改めて感動しました。参加者同士の文化交流においては、人種差別やエイズ問題、環境問題などにも議論が及び、自身の研究と将来を考える上で大変有意義な経験となりました。

 また、今回のセミナーを企画してくださった現地学生コーディネーターは、同年代にも関わらず、学生自身の手で組織運営する力をもち、精神的に自立しており、自身を見直す契機となりました。あらゆる場面で刺激を受け、学ぶことの尽きないセミナー週間を過ごさせていただきました。

 最後にノーベル博物館で見た湯川秀樹さんの色紙を紹介します。「緑こき 松見る人も 人の世の 平和続けと 祈る朝夕」。自身の研究が貧困問題の解決に役立ち、平和をもたらすことを目標に、ますます研究に勤みたいと強く決意しました。現地学生コーディネーターの皆様、スウェーデン日本大使館の皆様、そしてこのような機会を与えてくださった国際科学技術財団の皆様に心より感謝致します。


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