ストックホルム国際青年科学セミナー

2012年派遣学生

kawai川井 準也
東京大学薬学系研究科薬科学専攻
 

 2012年12月4日から11日までのノーベルウィークに国際科学技術財団の支援を受けて、ストックホルム国際青年科学セミナー(SIYSS)に参加させて頂きました。世界19ヶ国から25名の若手科学者がストックホルムに集まるこのセミナーでは、ノーベル賞関連行事への参加を中心に参加者同士および受賞者の方々と交流することができ、短いながらも非常に内容の濃い8日間を過ごして参りました。レセプションでの受賞者の方々との会話、各国の若手科学者との楽しいひと時、華やかな授賞式や晩餐会。そのどれもがSIYSSでしか味わえない、忘れることのできない瞬間でした。とりわけ医学・生理学賞に山中伸弥先生が選ばれた年に授賞式に参加できたことは、日本人としてとても幸運なことだと感じています。

 SIYSSへの参加を通して特に印象に残ったことを2点挙げさせて頂きます。
 1点目に、受賞者の方々のお話です。山中先生は「ビジョンを持ったハードワーク」の重要性を繰り返し説かれておりましたが、記者会見やレセプションでの会話を通じて、山中先生のビジョンの根底には研究への興味・好奇心が渦巻いていることを強く感じました。実験で予想外の結果が得られたらそれは失敗ではなく「チャンス」なのだ、という言葉がとても心に残っています。また、化学賞を受賞されたコビルカ先生が自身の経験から、現在の研究が将来どのように発展するかは誰にも分からない、とおっしゃっていたことも私には非常に印象的で、現代のサイエンスはこのような科学者たちの純粋な興味の上に発展してきたのだと改めて実感しました。先を見据えたビジョンを持つことはとても大切ですが、それ以上に純粋に研究を楽しむ気持ちも忘れてはいけないなと、研究者としての大先輩方のお話から初心に帰らされました。

 2点目に、各国の参加者の研究発表です。彼らのほとんどはその国の科学コンテストの優勝者で、高校時代などに限られた時間で行った研究成果でセミナーに参加していましたが、その研究の多様性と成果の大きさに圧倒されました。とりわけ、彼らが明確な意思の下に自分のやりたい研究を進めていた点、年齢も国籍も専門分野も異なる研究者に対しても積極的に質問や意見をする点が印象的でした。研究レベルでは日本は負けていないかもしれないが、彼らのこの姿勢は学ばなくてはならないと強く感じました。

 また研究以外でも、例えば他国の文化についても彼らは関心が強く、日本についてもマンガや文学、料理、着物、言語、政治情勢まで知っている人もいて、こちらの自国や他国に関する知識の無さを恥ずかしく感じるほどでした。何事にも興味を持ち、知識を付け、さらにそれらに対して自分の意見や考えを持つ点に、学ぶべき彼らの優秀さがあるのではないかと思います。

 SIYSSを通じて数多くの貴重な経験をし、優秀な若手科学者たちと出会い、楽しい時間を過ごし、それぞれの場面で研究における意識や姿勢を学ばせて頂いたと感じています。とりわけ研究を楽しむことが大きな成果に繋がる第一歩なのだと実感できたことが、現在の自分の姿勢を見直す契機になりました。SIYSSで学んだことを糧に、また24名の若手科学者との繋がりをこれからも大切にしながら、研究者として歩んでいきたいと思っています。

 最後になりますが、今回このような機会を与えて下さった国際科学技術財団の皆様、ご協力頂きました東京大学の方々、取材をして頂きましたNHKの方々、そして現地のコーディネーターの方々に深く感謝いたします。

kawai

ノーベル文学賞受賞者、Mo Yan博士と

 

 

 


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