ストックホルム国際青年科学セミナー

2013年派遣学生

ph_shimo下 英恵
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科先端生命科学専攻
 

 私は12月にストックホルム国際青年科学セミナー(SIYSS)の日本代表学生として、スウェーデンでのノーベル賞授式・晩餐会をはじめとするノーベル関連行事へ参加させて頂きました。ノーベル賞受賞者及びSIYSS参加者との交流も交えた、この一度しかない経験を通じて、私は科学者としての心得を再認識するとともに、自分のこれからの課題を改めて実感することができました。


 一週間のクライマックスは何と言っても授賞式当日でしたが、個人的に非常に印象に残った行事は週の前半に行われた生命倫理セミナーでした。これは班ごとに与えられていた生命倫理テーマ(人工知能、移植技術等)について学生同士で議論し、専門家を交えながら意見を発表するものでした。普段は意識することがない科学者としての責任(「科学者は科学者であるという理由で何でもやって良いのか」「線引きが必要とすれば、どこで行えば良いのか、またそれは科学者が決めて良いものなのか」等)について初めて深く考える機会になりとても貴重な今後の課題にもなりました。

 出席した受賞者による記念講演や記者会見では、今回の研究での受賞に至る経緯やその分野の歴史などを丁寧に聞く事ができ、先行研究の積み重ねがあってこそブレークスルーが生まれることを強く感じました。今回は化学賞の授賞対象が自分の研究分野と近かったこともあり、講演聴講は一層忘れられない体験となりました。また、医学・生理学賞の記者会見中にジェームズ・ロスマン博士が言っていた言葉、“The difference between a great scientist and a not-so-lucky one, is that the former fails 99 percent of the time, and the latter 99.9 percent” は心に残りました。失敗を恐れず、成功を信じて困難に立ち向かう精神力が必須であることを、ノーベル賞受賞者本人から直接聞いたことは非常に重みがありました。

 各国の参加者との交流の中では自分に不足している部分に気づかされました。彼らのほとんどは自分よりも年下でしたが、レクチャーの後はバスへ向かう帰り道で「今の講演、どう思った?」と意見を求めたり、「彼の発表は全然サイエンティフィックじゃない!」と激怒したり、勉強ができるのはもちろんのこと、常に自分の意見、他人の意見に対する興味を持っていました。彼らを見て、自分が大学の講義などに対して比較的受け身の姿勢にいたことに改めて気づき、自ら主体的に考え、他者と協働すること、またさまざまなバックグランドや価値観を持つ者の中で学ぶことの重要性を学びました。さらに彼らとの会話を通じて、私は改めて日本がいかに研究設備や生活環境において恵まれているかを知りました。実験環境がなくて、自分の地下室や駐車場で実験器具の代理品を使いながら今回の研究を遂行した、自分の国では研究室にお金がないため理論系のテーマしか選択できないなどといった話は、日本にいただけではきっと聞けなかったと思います。世界から見ても恵まれている国である日本で生まれて教育を受けている自分の義務について考えさせられました。 

 SIYSSプ ログラムの期間は一週間と短いものでしたが、私にはとってはとても密度の濃いものとなりました。この世界有数の科学者の式典に出席したことは、決して忘れないでしょう。今回の経験を糧に、受け身の姿勢を抜け出し常に自ら考え問う姿勢、科学者としての責任を忘れず、自らアクションを起こし、前に、常に前に、新しい流れを創れる科学者を目指したいです。

 最後に、今回このような貴重な機会を与えてくださった日本科学技術財団の方々をはじめ、最高の一週間を作り上げてくださった現地コーディネーターの皆様、またその他SIYSSの行事に関わってくださった多くの方々に深く感謝致します。

siyss_shimo

物理学賞を受賞したピーター・ヒッグス博士と

 

 

 


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