ストックホルム国際青年科学セミナー

2013年派遣学生

ph_suzuki鈴木 智世
上智大学大学院理工学研究科理工学専攻
 

 3年前に初めてSIYSS(ストックホルム国際青年科学セミナー)の存在と素晴らしさを知った際、全身を流れた衝撃と憧れの気持ちを今でも鮮明に覚えています。学部生だった頃、SIYSS経験者の先生の講義中にこの夢のようなプログラムがあることを伺い、自分からはほど遠いものに感じました。講義後に友人とこの話題で盛り上がったことが懐かしく思い出されます。遠い存在ながらも諦めることなく思い続けた結果、実際に参加して自分の目で見て肌で感じることができることへの感謝と喜びはひとしおでした。それと同時に科学を学ぶ日本の学生代表としての覚悟のもと、7泊9日のプログラムに参加させて頂きました。

 世界17ヶ国からの23人の参加者とともに、ノーベル賞受賞者によるノーベルレクチャーを聴き、レセプション、授賞式、そして晩餐会に出席する中でストックホルムでの「ノーベルウィーク」の雰囲気をフルに味わいました。また現地の高校生へ向けた自らの研究発表も行い、このうえない達成感を感じてきました。中でもノーベルレクチャーと、他の参加者との交流の2点が最も刺激的かつ印象的でした。

 ノーベルレクチャーでは、受賞内容はもちろん受賞者の方々それぞれの雰囲気や人柄を窺い知ることができ、以前より受賞者に対する親近感を抱く機会となりました。自らの研究を誰よりも大切に思い努力されている点は、皆さんに共通していると思います。一方で講演を通じてそれぞれに異なる人柄を感じました。特に化学賞受賞者の努力に加えユーモアや温かさを目の当たりにできたことは、化学研究に携わる者として大変嬉しいものでした。例えばKarplus先生は、ご自身の研究成果に基づいて将来的により複雑な系の理論計算が可能になるであろうという見解に加え、「もし自分がもっと若いうちであれば、(大変複雑なメカニズムと考えられている)脳のシミュレーションの世界へ走っただろう」と仰り会場の笑いを誘いました。Levitt先生は講演の最後にユーモアも交えご家族や共同研究者への感謝を述べたうえ、我々若い科学者へ向けて‘Take chances, but do not be too stupid. Be passionate, be persistent, be original, be kind and good.’という激励のメッセージを下さいました。周りの人への配慮を忘れない人柄の伝わる講演でした。学術研究に携わる自分の人間性を見つめ直す中で、これまでに自分と関わってくれた人々の顔が思い浮かびます。感謝を忘れずに科学者そしてひとりの人間として向上していきたいと思いました。

 参加者との交流を通じ、それぞれが自分の研究プロジェクトを持ち立派に発表する姿、文化・言語に関する関心の高さ、そして同じ化学を研究している学生との話が特に印象的でした。さらに自身の英語能力についての現状を認識し、人間関係の構築と言語・対話との関係性について考えさせられました。自分の身近に存在する問題・課題を研究プロジェクトとしていた学生が多く、その問題意識と課題解決力に驚かされました。また英語で多国籍の学生と文化、学校制度など様々な話題を共有できたことは貴重な経験でした。私が現地で手離すことのできなかった電子辞書を珍しがられたことも良い思い出です。化学を学ぶ学生とは、お互いの研究室、研究内容、投稿論文などの話ができ、科学・化学が万国共通であることを嬉しく感じました。研究場所に関わらずその根底に同じ土台を持つ科学分野に改めて魅力を感じています。
多国籍の人々と対話をする中で、人間関係の構築には自ら会話に入っていく力が不可欠であり、そのためには話についていくだけの言語力、話題性、そして自分の意見を持つことの重要性を痛感しました。部屋でのルームメイトの何気ない会話に入り損なったり、聞きたいことがあっても口火をきれない場面があったり、その度に自分が「あまり話さないよくわからない人」と思われることへの不安と後悔がありました。逆にとらえると、人と人との「繋がり」の構築には考えていたより多くの要素(会話内容、会話量、言語、タイミングなど)が関係しており、「繋がる」ことは素晴らしいことであるとも感じました。この反省を生かし、日常生活において対話力を向上させ、貴重な「繋がり」を築ける人間になれるよう過ごそうと思います。

 最後になりましたが、御礼を伝えたい方々が非常に多くおります。1年間あまり寝る間も惜しんで私たちを快く迎えスムーズに過ごせるよう準備をして下さった、現地のコーディネーターのホスピタリティには感謝してもしきれません。貴重な機会を与えて下さった国際科学技術財団の皆さま、ご尽力頂いた大学関係者の皆さま、研究発表に対し多くの議論を交わしてくれた研究室の教授と仲間、そして支えてくれた家族・友人に心より感謝申し上げます。

siyss_suzuki

ノーベル化学賞受賞者、Michael Levitt博士と

 

 

 


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