ストックホルム国際青年科学セミナー

2016年派遣学生

松本明宏
京都大学大学院薬学研究科
 

 私は、スウェーデン青年科学者連盟が毎年ノーベル賞週間に合わせて開催している「ストックホルム国際青年科学セミナー(Stockholm International Youth Science Seminar, SIYSS)」に参加した。今年はSIYSSが40周年という記念すべき年で特別に40th SIYSS Anniversaryというシンポジウムが開かれるなど、例年以上に盛り上がりを見せていたと感じた。例年同様、24名の研究者を目指す18~24歳の若者が各国の代表として選ばれ参加した。私は国際科学技術財団のご支援を受け、日本代表の一人として参加する機会を得たので、ここに報告させて頂く。
 高校生だった時、恩師の物理の先生はノーベル賞が発表される時期に「私の夢は皆の中で誰かがノーベル賞をとってくれることです。」と真剣に私たちに伝えた。先生の言葉をきっかけに私はノーベル賞に興味を持ち、科学者になろうと思った。また夢を考えるきっかけをくださった先生のように私も科学者として教育に携わりたいと思った。これが私とノーベル賞の初めての接点だ。現在所属する研究室で研究活動を始めて3年目になった。私は博士後期課程に進学予定でしてちょうど研究活動の折り返し地点にいる。残りの研究期間をより充実させるため、そしてその先の自分の道を見つめなおすことを目的に私は本セミナーに参加しようと思った。本セミナーを通して3点成果を得ることができたのでここに報告したい。
 1点目は科学のすばらしさだ。将来科学者として教育に携わる時に私はまず科学や学術研究の魅力を余すことなく伝え、科学に興味を持ってほしいと思った。そこで本セミナーを通して自分がまだ感じていない科学の魅力を発掘したいと考えた。24名のセミナー参加者は文化や言語も違っていたが、共通に科学が好きだった。私たちは一週間の間、バス移動中などの空き時間を見つけてはお互いの研究内容を話し、時に激しく意見をぶつけ合った。科学を通して私たちはお互いの考え方を分かち合うことができ、強い信頼関係を築くことができた。また1600名の現地の高校生に自分の研究内容を発表する機会もあった。発表を聞いたり、質問したりする高校生の表情は好奇心に溢れており、私は高校生と科学を通して繋がることができたと実感できた。2014年に日本代表として参加された般若明日香さんは、報告書の中で「科学の素晴らしさの一つに、国境を越えて色んな人と出会い、繋がることができることがある。科学も芸術や音楽と同じように人と人が繋がることができるツールなんだ。」という気づきを得られていた。本セミナーに参加したからこそ、私も実感できたことだと考え、私はより一層嬉しさと感動を覚えた。
 2点目はノーベル賞授賞者との交流だ。今年はノーベル生理医学賞に東京工業大学の大隅良典先生が授賞された。私は大隅先生のノーベル賞授賞記念講演を聞いたり、幸運にもノーベルレセプション、日本大使館でのレセプションで大隅先生と直接お話しすること機会を得ることができた。将来研究者を目指す私と春日さんは、研究をする上で一番先生が大切にされてきたこと、よい研究を行うために考えるべきことは何か尋ねた。先生は一つ目の質問に対しては「研究は一人ではできない。たくさんの人と協力して進めないとだめだ。だから人と人のつながりを大切にしないといけない」、二つ目の質問に対しては「研究を行っているとつい目先の実験のことばかり考えがちになる。でも常に長期的な目線を持ち、本当に自分がやりたいことを考えないといけない」と仰っていた。ノーベル賞受賞記念講演の際にも、先生は各スライドで関わっていた方々の名前を説明し、感謝の気持ちを表されていた。大隅先生とのお話から、私は自分一人でできることが小さいことを実感するとともに改めて研究室で共に研究を進めている先生や仲間、そして研究室外の共同研究者とのつながりを大切にしたいと感じた。さらに研究テーマを立案する際には、本当に自分が長い目線でやりたいことのなのか、ということを考える大きなきっかけとなった。
 3点目は、かけがえのない経験だ。このセミナーでは本当にたくさんの貴重な経験をすることができた。ノーベル賞授賞式・晩餐会に参加する際に初めて燕尾服を着たこと、ノーベル賞財団、日本大使館主催のレセプションに参加して世界的に著名な方々と直接お話しできたこと、そして厳粛な雰囲気のノーベル賞授賞式・晩餐会に参加し、その荘厳な雰囲気を味わうことができたことなどは一生の思い出になると確信している。特に大隅先生がノーベル賞授賞式でスウェーデン国王からメダルを授与され、オーケストラの演奏が会場全体に響いた際に感じた高揚感と感動はこれからの研究者としての人生の大きな支えになると感じた。このようなかけがえのない経験を、私は周りの人に共有していきたい。
 本セミナーで学んだことを生かして私は残りの博士後期課程での研究活動を充実したものにしていきたい。最後に、本セミナーに参加するにあたり、ご理解とご協力をしてくださった研究室の先生やメンバー、そして家族に対して心より感謝申し上げる。また派遣していただいた国際科学技術財団、昨年の貴重なSIYSS体験談を話して下さった大橋さん、並びに1年かけて本セミナーを準備して下さったSIYSSコーディネーターの方々に御礼申し上げる。最後に日本代表として私とともに参加した香川高専の春日さんにも、心より感謝申し上げたい。

 

 

 


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