2017年

「エレクトロニクス、情報、通信」分野から10件、「生命科学」分野から10件、「クリーン&サステイナブルエネルギー」分野から3件、計23件の募集を行い、選考委員会による厳正なる選考の結果、次の若手研究者23名の研究テーマが採択されました。

研究助成一覧

「エレクトロニクス、情報、通信」分野(10名)

意味的距離をとらえる言語のベクトル化

大阪大学 大学院情報科学研究科 准教授
荒瀬 由紀

助成額 100万円

単語と構文構造からなるテキストをベクトル化することで、言語処理を数理的によく理解されたベクトル演算により実現する。
ベクトルに意味的距離関係が再現されるよう、同一事象を表すフレーズがベクトル空間において近傍となり、反意語や否定により意味が反転したフレーズが大きな距離を持つよう保証する。将来的に画像等のベクトルと統合的に処理することで、高度な認識能力を持つ人工知能の実現に貢献する技術である。

ダイナミックかつ密な周波数共用技術に関する研究

茨城大学 工学部 メディア通信工学科 助教
王 瀟岩

助成額 100万円

 

モバイルトラフィックの量の激増とともに、移動通信に使いやすい周波数の不足が大きな問題となっている。一方、現在の周波数割り当てには、使用されずに残っている帯域が複数存在し、構造的に周波数利用効率の低下を生じさせているという課題がある。本研究は、周波数の利用効率を向上させる為、クラウドセンシングと周波数データベースを活用したダイナミックかつ密な周波数共用技術を検討する。

発話構文解析を利用した「よく聴こえる」拡声システム

室蘭工業大学 大学院工学研究科 助教
小林 洋介

助成額 100万円

拡声装置は発話内容をそのまま放送するため,「えー」や「あのー」といったフィラーや言い間違いなどもそのまま放送されてしまう。本研究では特に災害時の利用を想定して,情報共有すべき内容を発話音声から音声認識により発話テキストを取得し,そのテキストから必要な情報を抽出し,重要語のみで構成された文章音声を放送する「よく聴こえる」システムの構築を目指す。

光で剥がせるπ共役液晶接着材料の開発と高性能化

京都大学 大学院理学研究科 准教授
齊藤 尚平

助成額 100万円

部材の仮固定に頻用されるホットメルト接着材料は、高温では接着力を失ってしまうため、使用に制約がある。そこで応募者は、「高温でも接着力を維持する機能」と「光で剥がれる機能」を両立する独自の接着材料の開発に成功した。本研究では産業応用をめざして、π共役液晶分子の最適設計による接着材料のさらなる高性能化と、大量合成法の確立に取り組む。

鉄系高温超伝導体を用いたジョセフソン素子の実証
~超伝導デバイスのヘリウムフリー化と省電力化の実現~

東京農工大学 大学院工学研究院 物理システム工学専攻 助教
迫田 將仁

助成額 100万円

鉄系超伝導体SmFeAs(O,F)を材料として、液体水素で動作するジョセフソン素子の作製を研究目的とする。従来の超伝導材料であるニオブの動作は、液体ヘリウムによる4Kの極低温冷却を要するため、デバイス導入のコスト・技術的なハードルが高い。そこで、材料を鉄系高温超伝導体で代替することにより、液体水素温度の20Kで動作させる。本研究では、分子線エピタキシー法を用いて、高品質な鉄系超伝導体ジョセフソン素子の作製に取り組む。

高分子の自己組織化を活用した高輝度フルカラー発光性ナノ粒子の創製

山形大学 大学院有機材料システム研究科 助教
中林 千浩

助成額 100万円

本研究では、両親媒性ブロック共重合体の自己組織化によるコア­-シェル型ミセル形成と選択的カップリング反応をone-potで実施し、コアに多様な凝集誘起発光性(AIE)構造を固定化することで、溶液・固体状態などの外部環境に依存せず常に高発光するフルカラー発光性ナノ粒子群のライブラリ創製に挑戦する。さらに、それを基に溶液プロセスで低コストかつ簡便なフレキシブルなフルカラー発光デバイス開発を目指す。

MEMS部材の両振り応力条件による疲労挙動評価技術の開発

特定国立研究開発法人 産業技術総合研究所 研究員
名越 貴志

助成額 100万円

試験片サイズによって機械的特性が変化することはサイズ効果として広く知られている。近年小型化が急速に進むMicro-Electro-Mechanical-System(MEMS)に用いられる部材はこのサイズ効果の影響下にあり、マイクロ部材での疲労試験はMEMS デバイスの高信頼性を確保するうえで非常に重要である。そのため、本研究では微小部材に適用可能である両振応力での微小疲労試験法の確立を目的とする。

次世代3次元集積回路実現に向けた光圧力による金属3次元ナノ構造創成

東京大学 先端科学技術研究センター 光製造科学部門 助教 
道畑 正岐

助成額 100万円

次世代電子デバイスを担う3次元集積回路の実現に向け、金属3次元ナノ構造創成技術の確立を目指している。光圧力によって物体に力を作用にさせ、微小物体を捕まえることができるが、この手法でナノ粒子を、回折限界に制限を受けず、ナノスケール局所化が期待できる。この原理を実現し、集光レーザで金属ナノ粒子を局所化・3次元集積することで、従来困難なナノスケールの金属3次元構造の創成を実現を目指す。

メタマテリアルを用いた量子ドット発光制御による円偏光光源の開発

国立研究開発法人理化学研究所 光量子工学研究領域
エクストリームフォトニクス研究グループ  特別研究員
森竹 勇斗

助成額 100万円

本研究では、新しい人工光学材料であるメタマテリアルを用いて、量子ドットから円偏光のみを発光させる技術を実現する。近年、量子ドットは、量子通信・量子コンピュータなどの分野における重要な要素として活発に研究が行われており、その偏光特性制御技術の開発が求められている。本技術によって、左右の円偏光を切り替えられる超小型円偏光光源の開発を行い、量子情報技術の実現や生化学測定のユビキタス化に貢献する。

ネットワークの保守・運用作業の自動化のためのネットワークモデル化技術の開発

長岡技術科学大学 大学院工学研究科 助教
渡部 康平

助成額 100万円

本研究では、Internet of Things(IoT)の普及を支える基盤技術として、大規模ネットワークのモデル化技術を開発する。従来用いられてきた待ち行列理論に基づいたモデル化では、現代の大規模ネットワークのモデル化は困難である。そこで、機械学習によるアプローチを用いて、ネットワークの計測データやログなどのビッグデータからネットワーク品質を出力するモデルを構築する。

(所属、役職は助成当時のもの、五十音順)

▲このページのトップへ

「生命科学」分野(10名)

ストレスと孤独のスパイラルを緩和する神経機構の解明

自治医科大学 医学部生理学講座 助教
犬束 歩

助成額 100万円

ストレスと孤独はお互いを強め合うことが知られている。ストレスによる社会的忌避行動には前頭前皮質が関与する。前頭前皮質はオキシトシン神経の主要な投射先であり、オキシトシン神経の活性化は不安解消を介して社会的忌避行動を緩和している可能性がある。本研究ではウィルスベクターを用いた投射経路選択的な活動操作・活動記録を利用し、この仮説を検証する。

大規模シナプス同定法による神経演算原理の解明

大阪市立大学 大学院医学研究科 講師
北西 卓磨

助成額 100万円

神経細胞は、ほかの神経細胞からシナプスを介して入力を受け、それに応じて出力を発する。この入出力演算は脳のもっとも基礎的な情報処理だが、こうした演算を生体脳内において計測する手法はこれまで存在しなかった。本研究は、自由行動中の動物の脳において約100個の神経細胞の活動と10,000個のシナプス結合とを一斉に計測する「大規模シナプス同定法」を開発し、神経演算の基本原理を探求する。

昆虫の忌避行動を制御する神経機構の解明

金沢大学 理工研究域自然システム学系 博士研究員
木矢 星歌

助成額 100万円

多くの動物は特定の物質から遠ざかる忌避行動を示す。しかし、感覚情報が脳内でどう処理され、行動を引き起こすかについては不明な点が多い。本研究ではショウジョウバエをモデルとして、忌避物質である二酸化炭素及び昆虫忌避剤DEETに反応する脳神経回路を同定する。また、同定された神経の活動を人為的に操作し、その役割を解析する。これにより、忌避行動を制御する高次脳領域の神経機構を初めて明らかにすることを目指す。

 

細胞の恒常性維持に関わる選択的オートファジーの構造基盤

公益財団法人微生物化学研究会
微生物化学研究所 構造生物学研究部 博士研究員
鈴木 浩典

助成額 100万円

オートファジーは真核生物に保存された細胞内分解システムであり、飢餓などに応じて細胞質成分を“非選択的に”分解して栄養源の供給に寄与する。一方、細胞の恒常性を維持するために、古くなったオルガネラなどを“選択的に”分解することにもオートファジーが関与し、これを選択的オートファジーと呼ぶ。本研究では、選択的オートファジーに関わるアダプタータンパク質に焦点を当て構造機能解析を行い、その分子機構を明らかにする。

中心体複製メカニズムに関わる内在性分子の時空間マッピング

情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所
分子遺伝研究系 中心体生物学研究部門 助教
高尾 大輔

助成額 100万円

微小管形成中心として働くなど多くの重要な機能を担う中心体は、細胞周期において一度だけ複製されるよう厳密に制御されている。しかしその複製メカニズムの詳細については未解明な部分が多い。本研究では徹底的な顕微鏡観察により、分子が直径200 nm程度の超微小空間に順に集積し局所的な構造を組み立てていくダイナミックなプロセスを直接的かつ定量的に記述し、1分子動態のレベルで中心体複製メカニズムを明らかにする。

集団トランスクリプトミクスによる分布限界の成立の集団遺伝学的基盤の解明

千葉大学 大学院理学研究科 助教
高橋 佑磨

助成額 100万円

生物の分布限界はどのように成立するのか? この疑問は、生物の分布パターンを理解しようとするマクロ生物学や生態学の基本的な興味である。しかし、分布限界の成立機構、すなわち、分布域外の環境への新たな適応進化が抑制される機構の検証は皆無である。本研究では、野外調査と集団トランスクリプトーム解析(mRNA配列の網羅的解析)を組み合わせた方法で河川性カワニナにおける汽水適応の成否や河口での分布限界の成立の遺伝的機構を検証する。
ヒトiPS細胞由来移植細胞における長期生着モデルブタの開発と再生医療への応用

慶應義塾大学医学部循環器内科学教室 特任助教
遠山 周吾

助成額 100万円

近年ヒトiPS細胞を用いた再生医療における早期臨床応用が期待されているが、ヒトiPS由来の移植細胞における安全性・有効性を担保するためには、大型動物を用いた長期に渡る評価系の確立が必須である。しかしながら、現状では異種細胞を長期間生着させることは不可能である。本研究では、ヒト移植細胞における長期生着モデルブタを開発し、生着した移植細胞を長期間解析することを目指す。

バクテリアのゲノム修飾による遺伝子発現制御メカニズムの網羅的解析

北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター 講師
古田 芳一

助成額 100万円

バクテリアは同じ種内でもさまざまな形質を持つ株が存在し、薬剤耐性菌のように医学的に問題を起こすものもあれば、特定の物質を多く生産し産業的に役立つものも存在する。そうした多様性は主にゲノムの配列の変化によるものだが、その修飾状態の多様性も寄与する場合があることがわかり始めている。本研究では、ゲノムのDNAメチル化状態(メチローム)に多様性を持つ大腸菌ライブラリを構築・解析し、バクテリアのゲノム修飾による遺伝子発現制御の詳しいメカニズムを解明する。DNAメチル化による遺伝子発現制御のモデルを構築し、医学や生物工学への応用を目指す。

長鎖非コードRNAを含有する新規核内構造体を介した熱ショック応答機構の解明

東京大学 アイソトープ総合センター 特任助教
水谷 玲菜

助成額 100万円

私は、熱ショック応答における核内長鎖非コードRNAの役割を研究する過程で、新規の核内構造体を発見した。すなわち通常は核スペックルという核内構造体に局在する長鎖非コードRNAが熱ショックに応答して新規核内構造体を形成することを発見した。本研究は、この長鎖非コードRNAを含有する新規核内構造体の分子構成と生理的意義の解明を行う。最終的に長鎖非コードRNAを含む新規核内構造体を基盤とした熱ショック応答機構の提唱を目指す。

高温熱水系に生息するウイルスゲノムの解析

東京工業大学 地球生命研究所 研究員
望月 智弘

助成額 100万円

我々にとっては煮えたぎるような熱水中にも微生物は数多く存在しており、最初の生命は約40億年前にそのような熱水中で誕生したとされている。80℃以上の高温熱水系に生息する微生物(主に超好熱古細菌)に感染するウイルスは、土壌や海・淡水などの普通の環境に存在するウイルスなどとは形状などが大きく異なり、独自の進化を経た存在であることが知られている。本研究ではこのような超好熱ウイルスを日本各地の温泉から新たに分離・培養し、そのゲノム配列などの諸性質を調べることにより、このような「変わり者ウイルス」の極限環境適応機構や進化過程の解明につなげたいと考えている。

(所属、役職は助成当時のもの、五十音順)

「クリーン&サステイナブルエネルギー」分野(3名)

太陽熱の高効率利用に向けた遷移金属窒化物ナノ構造による光熱交換

国立研究開発法人物質・材料研究機構
国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 主任研究員
石井 智

助成額 100万円

本研究では、高効率に太陽光を光熱変換するナノ粒子周辺の伝熱解析と、ナノ粒子材料の探索と評価を行うことを目的とする。これまでの研究で、水に分散した窒化チタンナノ粒子は太陽光を吸収し、80%以上の効率で水の加熱と蒸発を行うことを明らかにした。今後はナノ粒子近傍のミクロな光熱変換過程の解明や、窒化チタン以外に有望な材料を探索して光熱変換の評価を行う。また応用としてナノ粒子を用いた小型温水・蒸留装置の開発を進める。

EGS型地熱開発に向けた,岩石き裂のせん断滑りにともなう透水性変化挙動の解明

特定国立研究開発法人産業技術総合研究所
福島再生可能エネルギー研究所 研究員
石橋 琢也

助成額 100万円

本研究では、EGS型地熱開発で使用する貯留層シミュレーターの精緻化を念頭に、地熱貯留層環境を模した条件下で岩石き裂がせん断した際、き裂の透水特性が滑りの前後でどの程度変化するかを明らかにする。温度・圧力条件を制御した条件のもと、き裂のせん断-透水同時実験を実施し現象を把握したのち、現象を説明可能な数値モデルを構築するというアプローチをとる。

自己組織化単分子(SAM)電解質を用いたマグネシウム-硫黄二次電池の長寿命化技術の開発

山口大学 大学院創成科学研究科 学術研究員
板岡 加成恵

助成額 100万円

マグネシウム硫黄(Mg-S)二次電池の開発において、反応中に負極のMg金属表面に形成される酸化被膜と硫黄系正極からのポリスルフィドアニオンの溶出が課題となっている。そこで、負極のMg金属上に垂直に自己組織化単分子膜(SAM層)を形成させることにより、酸化被膜形成を抑制する。また、このSAM層と硫黄系正極との間にチオラートアニオン層を形成することで、硫黄系正極から溶出するポリスルフィドアニオンを電荷反発によって閉じ込める。

(所属、役職は助成当時のもの、五十音順)

 

▲このページのトップへ

Google
Japan Prizeサイト内検索
インターネット検索

研究助成

Japan Prize 30年の歩み


page top