研究助成一覧

2008年

1分野10件、計20件の募集を行いましたが、選考委員会による厳正なる選考の結果、次の若手研究者18名の研究テーマが採択されました。

「情報通信の理論と技術」分野

散逸を伴う量子情報通信路の研究
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お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科 准教授
北島 佐知子

助成額 100万円

現代社会を特徴付けるキーワードの一つは情報であるが、近年、量子力学という物質のミクロ世界を支配する法則が、情報処理・情報通信の分野に大きな変革を及ぼしつつあり、たとえば、量子計算、量子暗号などを挙げることができる。しかし、現在は基礎研究を重視すべき段階にあり、本研究は、量子系のコヒーレンスを消失させるメカニズム(ディコヒーレンス)の解明及びパルス技術を用いたその抑制に関する厳密な理論提案からなる。最近、本研究の予備的成果に対し、実験的検証が行われた。
パターン媒体を用いた次世代デジタル磁気記録のための繰り返し復号方式
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愛媛大学大学院理工学研究科 助教
仲村 泰明

助成額 100万円

ハードディスク装置(HDD)は、大容量・高速・廉価な情報ストレージ装置として確固たる地位を占めている。HDDの更なる高密度化を実現するにあたり、ビットパターン媒体は従来の垂直磁気記録方式に比べて媒体雑音を大幅に低減できる手法として期待されている。また、繰り返し復号方式も高い復号利得が得られる復号方式として注目されている。本研究は、ビットパターン媒体を用いた超高密度磁気記録再生系に適した信号処理方式としての繰り返し復号方式の開発を行う。
複数の攻撃者による結託攻撃に強い電子透かし符号の実用化に向けた研究
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独立行政法人産業技術総合研究所情報セキュリティ研究センター 研究員
縫田 光司

助成額 100万円

結託耐性を持つ電子透かし符号について、符号構成法の改善と、安全性評価手法の改良による評価の精密化によって、符号長の削減を目指す。具体的目標は、2 名から10名程度の結託の場合に、符号長256ビット以下の達成、もしくは従来の符号長の2割削減である。また、実用化に向けて、障害の一つである「マーキング仮定」に代わるより現実的な仮定を模索するとともに、電子透かし符号の埋め込み・検出装置の試作品を作成する。
シンクダイバーシティ技術を活用したメッシュセンサーネットワークの研究開発
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静岡大学情報学部情報科学科 助教
萬代 雅希

助成額 100万円

本研究では、シンクダイバーシティ技術を活用してセンサーノードの低コスト化、省電力化および高い情報収集効率を実現するメッシュセンサーネットワークを開発する。本研究では、多数のシンクを無線マルチホップメッシュネットワークで接続することで、低コスト化を図りつつ、複数のシンクにセンシング情報を送信するシンクダイバーシティ技術を用いることで、センサーノードの省電力化および高い情報収集効率を実現する。
完全並列給電一層構造導波管スロットアレーアンテナによる広帯域化の研究
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東京工業大学理工学研究科 助教
平野 拓一

助成額 100万円

完全並列給電一層構造導波管スロットアレーアンテナを提案し、広帯域化を目指す。完全並列給電により、長線路効果による狭帯域化を克服できる。並列給電回路には方形導波管E面分岐の完全トーナメント構造を用いる。導波管狭壁面上に斜めに切ったスロットでは十分な放射が行えないため、導波管狭壁面上に切ったダンベル型スロットを放射素子として用いる。また、ダンベル型スロットを±45°の角度で切って偏波の向きを合わせる。
概念ネットワークによるユーザ嗜好のモデル化に基づく協調フィルタリング
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大阪府立大学大学院工学研究科 助教
本多 克宏

助成額 100万円

サイバー空間上での情報爆発に対処する情報選別技術の一種である協調フィルタリングでは、嗜好の類似したユーザと過去の履歴を比較することで、ユーザの嗜好に合致した推薦を行う。しかし、多種多様なユーザの嗜好を明示的に表現することは困難であることから、自己像のグラフ構造モデルである概念ネットワークを自然言語表現から導出するアプローチを開発し、認知的視点から嗜好の類似性を評価する情報選別への応用を試みる。
フォトニックネットワークのための光可変遅延回路に関する研究
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電気通信大学電気通信学部情報通信工学科 助教
松浦 基晴

助成額 100万円

将来のフォトニックネットワークのための新しい光可変遅延回路を提案する。この遅延回路は、半導体光増幅器を用いた波長変換技術と光ファイバ中での波長分散による群遅延を利用し、波長変換のシフト波長で決まる相対的なファイバ伝搬時間を制御することで、任意の遅延時間を発生させる構成である。これにより、従来方式と比較して、可変遅延特性に優れた実用性の高い遅延回路の実現を試みる。
医療安全のためのセラミック型Radio frequency identification (RFID)を用いた手術器具のトレーサビリティの研究
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東京医療保健大学医療保健学部医療情報学科 准教授
山下 和彦

助成額 100万円

手術現場の医療過誤は社会的問題である。そこで、医療安全と医療の信頼性向上のための情報通信技術の活用として、手術器材の個体管理とトレーサビリティが求められる。本研究ではこの目的のために、セラミック型RFIDを用いた手術器材の開発を行った。RFIDによる手術器材の情報化により、医療従事者が行ってきた煩雑な作業から開放され、本来人間が行うべき患者へのケア等に注力でき、医療の質向上が期待できる。
嗅覚インターフェース
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上智大学理工学部電気電子工学科 講師
山中 高夫

助成額 100万円

サイバー空間と実空間をより自然に結びつけるためのインターフェースとして、五感情報全てを活用した五感情報通信が検討されている。本研究では、特に嗅覚インターフェースに着目して、嗅覚ディスプレイや匂い知覚メカニズムの検討を行うことにより、嗅覚を通じたコミュニケーション手法に関する研究を行う。匂い情報は、穏やかな注意喚起など、視覚や聴覚などの他感覚にはない特徴を生かした応用が考えられる。
裸眼長視距離型三次元画像可視化システムに関する研究
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東京大学大学院工学系研究科 准教授
廖 洪恩

助成額 100万円

今後要求が高まる情報通信分野「ユーザビリティ分野(ディスプレイ等)」としての三次元画像可視化(裸眼立体視)技術、特に長視距離三次元画像表示への展開として、フルカラーの三次元動画像を三次元実空間に歪み無く投影するシステムを開発する。また、三次元画像表示ソフトウェア開発は、グラフィクス、高速処理および表示などの技術を取り入れ、三次元空間表示技術を実現するために最も確実な手段を確立する。

(所属、役職は助成当時のもの、五十音順)

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「ゲノム・遺伝医学」分野

十字架型DNAを介した染色体異常症の発生機序に関する研究
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藤田保健衛生大学大学院医学研究科 大学院生
加藤 武馬

助成額 100万円

近年、DNAの立体構造の異常が染色体異常を誘発している事が示唆され始めた。私達はヒト染色体転座t(11;22)(q23;q11)の転座切断点にある配列が、十字架型の2次構造をとるために、反復性の染色体転座の原因となることを提唱している。本研究では、t(11;22)の新生転座が、生殖細胞発生過程のどの段階で発生するのか解明し、生殖細胞発生過程の生理的なゲノムの高次構造のダイナミクスにせまる。
G:C→C:G点突然変異を防ぐ酵素の探索
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徳島文理大学香川薬学部薬科学科 講師
喜納 克仁

助成額 100万円

DNAは化学物質であり、種々の活性種により損傷を受ける。特に酸化条件においてはグアニンが損傷を受けやすい。実際に様々な酸化条件においてG: C→C:G点突然変異がみられる。そこで、この点突然変異をひきおこすグアニン酸化損傷を修復することができれば、G:C→C:G点突然変異の防御メカニズムが明らかになるだろう。本研究では、グアニン酸化損傷を修復する酵素を探索する。具体的には、グアニン酸化損傷を含んだDNAオリゴマーを固相に結合させ、固相と細胞抽出液を混合し、固相に結合した蛋白質を拾い上げる。この蛋白質プールの中から目的の酵素を見い出す。
全身性エリテマトーデス(SLE)や関節リウマチ(RA)などのリウマチ性疾患の疾患感受性遺伝子探索とその機能解析
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神戸大学大学院医学系研究科 学生(研究員)
京極 千恵子

助成額 100万円

多くの多因子の遺伝病では、ヒトの個人差を決定付けるゲノムの多様性(SNP, 繰り返し配列、デリーション・インサーションなど)が、疾患の感受性をも決めている。そこで、このようなゲノムの多様性を、患者と健常者、患者の家族でタイピングし、関連解析を行うことにより、リウマチ性疾患感受性遺伝子の同定を試みている。さらに、このようにして見つかった疾患関連遺伝子のSNPについて機能解析を行い、病因への関連性を明らかにしている。
細胞内輸送に関わる遺伝子を欠損するマウスの網羅的作製と解析による、細胞の極性異常に起因する疾患の同定とその分子メカニズムの解明

写真群馬大学生体調節研究所細胞構造分野 助教
佐藤 隆史

助成額 100万円

細胞の極性形成、維持は細胞の機能に重要である。またガン細胞で極性が失われることからガン化にも関連があるといわれる。細胞の極性の形成、維持には細胞内の極性輸送が重要であり、それに関わる遺伝子が多数知られている。本研究では、申請者が新規に開発した「復帰可能ノックアウト」の手法を用いて、それらの遺伝子の組織特異的欠損マウスを網羅的に作製、解析し、細胞の極性異常に起因する疾患の同定と原因の解明を行う。
食道幹細胞の分化・増殖過程における遺伝子発現プロファイリングと食道癌細胞の遺伝子発現プロファイリング、およびそれらの比較研究
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九州大学生体防御医学研究所 SSP学術研究員(特任准教授)
鈴木 淳史

助成額 100万円

ポストゲノム研究の潮流の中で、細胞種に応じた遺伝子発現の特徴を理解することは、生物学や医学の発展に向けた初期ステップとして重要である。本研究では、食道を構成する全上皮細胞の根幹に位置する食道幹細胞と食道上皮に発生する悪性腫瘍である食道癌の細胞に対する遺伝子発現プロファイリングを行い、それらのデータ解析から食道幹細胞による食道の恒常性維持機構を解明し、食道癌形成への食道幹細胞の関与にアプローチする。
光反応を利用した遺伝子中メチル化シトシンの高感度検出法の開発
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京都大学工学研究科 助教
田邉 一仁

助成額 100万円

ゲノムのメチル化は、遺伝子発現のオン・オフ制御を司る。このメチル化による遺伝子発現制御が疾患と密接に関わることから、遺伝子中メチル化サイトの検出は、臨床的に、また分子生物学的にも重要である。本研究では、メチル化シトシン(mC)上の光酸化反応と配列特異的DNA鎖切断反応を応用し、ゲノム中mCの高感度検出法を構築する。蛍光発光、光電流応答等、各種検出手法に対応する分子システムの構築を目指す。
コステロ症候群患者におけるHRAS遺伝子解析および腫瘍発生メカニズムの解析
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東北大学病院遺伝科 医員
新堀 哲也

助成額 100万円

コステロ症候群(CS)は、成長障害、疎な顔貌、皮膚弛緩症、心筋症などを伴う症候群で、申請者らは2005年にがん原遺伝子であるHRAS遺伝子の変異が病因であることを発表した。CS患者では2割程度でのみ腫瘍を合併することから、腫瘍発生には腫瘍抑制機構を破綻させる更なる異常が必要であるが詳細は明らかでない。そこで患者細胞および変異導入細胞の解析を行ない、腫瘍発生メカニズムの一端を明らかにすることを目指す。
非症候性大動脈解離の疾患感受性遺伝子探索
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横浜市立大学大学院医学研究科 助教
水口 剛

助成額 100万円

上行大動脈解離を合併するMarfan症候群では fibrillin 1変異による結合織異常とTGF-βシグナル伝達異常が発症に重要であることが示唆されている。非症候性大動脈解離の病態においても結合織構造タンパク質、TGF-βシグナル伝達系が重要な可能性がある。本研究では非症候性大動脈解離に潜在するメンデル遺伝性疾患の遺伝的寄与を検証するとともに、候補遺伝子アプローチによる一塩基多型(SNP)との相関研究により疾患感受性遺伝子の探索を行う。

(所属、役職は助成当時のもの、五十音順)

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