研究助成一覧

2009年

1分野10件、計20件の募集を行い、選考委員会による厳正なる選考の結果、次の若手研究者20名の研究テーマが採択されました。

「自然と共生する持続可能な技術社会形成」分野

プロセスベースモデルを用いた水田の乾湿繰返し灌漑による温室効果ガス排出量削減効果の評価とその広域への適用
katayanagi

独立行政法人国際農林水産業研究センター 特別派遣研究員
片柳  薫子

助成額 100万円

水田における乾湿繰返し潅漑技術(Alternate Wetting and Drying; AWD)は、不要な水流出を抑えながら収量を維持する潅漑法としてほぼ確立され、現在普及段階にある。しかしその環境影響の視点からの考察はほとんど行われていない。本研究では、国際稲研究所で得られた実測値を基に、既存の温室効果ガス排出モデルをAWD環境下で利用可能なモデルに改良する。次に、この改良モデルを用いてAWD技術の普及が水資源および地球温暖化に及ぼす影響を評価する。
歩行者用道路ネットワークにおけるノード・パス情報推定に関する研究
konishi

新潟大学 災害復興科学センター 特任助教
小西 孝史

助成額 100万円

近年、GPSの高精度測位や小型化が実現したことにより、特に歩行者ナビゲーション分野が大きく発展するものと予測される。本研究ではGPSや各種センサから取得される歩行情報を解析し、歩行者用道路ネットワークにおけるノード・パス情報の推定を試みる。基盤となる歩行者用道路ネットワークの充実は、高齢化社会の到来、障害者人口の増加を受け、健常者のみならず高齢者・障害者においても有用な歩行者用ナビゲーションの実現ために貢献できると考えられる。
水中浮遊式トンネル構造体の構造挙動を積極活用した地球に優しい次世代型洋上施設の提案
sato

北海道大学大学院工学研究科 助教
佐藤 太裕

助成額 100万円

現在世界を取り巻く地球環境悪化、およびそれに伴う甚大な自然災害問題は、人類が取り組むべき喫緊の最重要課題である。本研究は環境保全技術として、係留索を用いて水中に安定化させる水中浮遊式トンネル構造体の「動揺しやすい」性質を積極活用することで、波浪災害から陸地を守り、かつ自然エネルギーを生み出す二重の機能を有した次世代洋上施設を提案し、その技術成立性を検討するものである。
有機太陽電池を指向した星形ドナー・アクセプターπシステムの開発
takase

首都大学東京大学院理工学研究科 助教
高瀬 雅祥

助成額 100万円

単一分子で光起電力能を有する有機ドナー・アクセプターπシステムの構築を行う。そのため、本来、交互積層型に重なりやすいπドナー分子とアクセプター分子を同一分子内で星形に配置させ、分離積層型にスタックするような分子の設計と合成を行う。このような系を構築する事で、光誘起に伴うドナー・アクセプター間の電荷移動および電荷分離が効率的に起こると予想され、従来の変換効率を大きく上回る素子の開発が期待される。
ナノ構造材料を用いた、深海微生物独自のバイオマス活用能力の開拓とその利用
tsudome

独立行政法人海洋研究開発機構 極限環境生物圏研究センター 技術研究副主事
津留 美紀子

助成額 100万円

申請者らが独自に開発した、ナノファイバー状のセルロースを用いたセルロース分解菌の新規培養手法を活用して、新規セルロース分解菌を分離する。特にこれまで研究が行われていない、深海環境に生息するセルロース分解菌に着目する。最終的には新規な高活性セルラーゼを取得し、セルロース系バイオマス有効利用方法を確立する。
環境低負荷型パルプ原料植物への新しいアプローチ ~植物配糖化酵素を用いた低リグニン含量植物の創出~
terasaka

名古屋市立大学大学院薬学研究科 助教
寺坂 和祥

助成額 100万円

地球環境の急激な変動や化石資源の枯渇・高騰を発端として、自然との共生・持続可能な社会形成のため、植物バイオマスが注目されている。これらを利用する際に、植物細胞壁に含まれるリグニンの除去は非常に重要なプロセスである。本研究では植物二次代謝系の配糖化酵素の機能を利用して、植物をバイオマス原料として用いるプロセスにおいて環境負荷の原因となるリグニン含量を低下させるための基盤技術の開発を目指す。
自然循環型ループヒートパイプの内部熱流動特性の研究
nagano

名古屋大学大学院工学研究科 講師
長野 方星

助成額 100万円

次世代の電子機器放熱デバイスとして着目される自然循環型ループヒートパイプ(LHP)の実用化のためには、蒸発部の内部流動現象の十分な理解と統一された設計理論の確立が不可欠となる。本研究はこれまで明らかにされていないウィックコアの内部流動現象を可視計測できる実験手法を新たに開発し、動作時の熱負荷変動に伴う熱損失と内部二相状態の関係を明らかにするとともに、LHP設計に資する詳細な熱流動解析モデルを確立する。
中性子反射率法による潤滑摩擦面の吸着層解析とそのトライボロジー特性の把握
hirayama

同志社大学理工学部エネルギー機械工学科 准教授
平山 朋子

助成額 100万円

持続可能な技術社会を形成する上で、機械における「摩擦ロス」を見直し、エネルギーを効率良く使用することは重要な課題である。一般的な機械しゅう動面では、表面への潤滑剤の吸着が固体間の摩擦を低減すると言われている。本申請課題では、中性子反射率法を用いて金属表面/潤滑剤間の界面構造を調べ、吸着層の有無が摩擦特性に及ぼす影響を調べる。それにより、金属間の摩擦をより低減し得る摩擦面設計の指針の提示を目指す。
廃棄物を低減化した触媒的β-ケトエステル合成法の開発
muraoka

群馬大学大学院工学研究科 助教
村岡 貴子

助成額 100万円

本研究では、合成に伴う廃棄物を最小限にとどめた触媒的β-ケトエステル合成法の開発を目的とする。持続的社会の実現に向けて、出た廃棄物の処理法を考えるのではなく極力出さない合成技術の開発が急務である。従来法とは異なり、陽イオン性ロジウム錯体を触媒とするヒドロアロイル化反応を利用すると、中性条件下で安全に省エネルギーかつ高分子効率で、工業製品の中間体として重要なβ-ケトエステルが合成できる。
微生物と遺伝子の環境中での拡散を制御するための疫学的・数理生態学的解析
yahara

久留米大学大学院医学研究科 大学院生
矢原 耕史

助成額 100万円

微生物集団中の遺伝子の拡散と、環境中の微生物集団そのものの拡散が、環境条件に応じてどのように生じる(あるいは抑制され得る)のかについて、数理生態学・社会科学的手法に根ざしたシミュレーション・数理解析と、疫学データの統計解析の両面から、計算機を駆使して解明する。東京大学医科学研究所(申請者の出身研究室)との共同研究に加え、応用的な課題について、久留米大学臨床感染医学部門・附属病院とも共同研究を行う。

(所属、役職は助成当時のもの、五十音順)

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「医学・工学の融合における疾患への技術の展開」分野

疾患細胞選択的な遺伝子発現制御技術の創出と治療への応用
asai

聖マリアンナ医科大学医学部 助教
浅井 大輔

助成額 100万円

ドラッグデリバリーシステム(DDS)は薬剤の生体内での動きを制御することを最終目的として発展し続けている医工融合の先端技術の結集である。本申請課題は、現在主流である疾患細胞表面のマーカー分子のターゲッティングではなく、疾患細胞内で酵素分子が恒常的に活性化していることをペプチドにより感知し、治療遺伝子を放出するという全く新しい発想に基づく人工的遺伝子発現制御技術の創出および治療への応用を目指す。
静電インクジェット現象を利用した三次元細胞組織の作製
umedu

独立行政法人理化学研究所 基幹研究所 基礎科学特別研究員
梅津 信二郎

助成額 100万円

本研究は、市販のインクジェット方式よりも高粘性の液滴が吐出可能でチューブ内径よりも小さな液滴を吐出可能というメリットを有する静電インクジェット現象を利用して、任意の細胞組織を作製するものである。さらに作製された細胞組織が再生医療・人工臓器といったバイオテクノロジー分野で利用できるかという基礎的な臨床試験を行い、任意の細胞組織を人工的に作製する技術確立を目指す。
医工学連携によるガンのピンポイント診断・治療を目指したナノデバイスの創製
oishi

筑波大学大学院数理物質科学研究科 講師
大石 基

助成額 100万円

これまで本申請者は、非侵襲的かつガン周辺のpH変化に応答し、治療と診断を同時に行うセラノステック・ナノデバイスの研究に従事してきた。本研究では、セラノステック・ナノデバイスとして期待されるpH応答性PEG化ナノゲル粒子を基盤技術として、ネブラスカ大学メディカルセンターとの医工連携による、19F MRIおよび薬物送達システムを用いたガンのピンポイント診断・治療システムを開発する。
Constrained Interpolation Profile(CIP)法を用いた非線形伝搬シミュレーションと超音波画像処理への応用
ohkubo

首都大学東京システムデザイン学部システムデザイン学科 助教
大久保 寛

助成額 100万円

本研究は、高精度な時間領域の手法であるCIP(Constrained Interpolation Profile)法を用いた超音波・波動伝搬シミュレーション及び波動伝搬現象の可視化技術の開発・確立を目指す。特に、CIP法を用いた非線形超音波伝搬シミュレーションを確立し、超音波画像処理への応用を行う。
多分化能を有するヒト幹細胞の分化制御を目指した培養面の開発
kim

大阪大学大学院基礎工学研究科 前COE特任研究員
金 美海

助成額 100万円

再生医療への応用を目指し、幹細胞に寄せられる期待は大きい。しかし、患者自身から得られた幹細胞に対し、体外での細胞増幅培養、組織化培養を施す際に、それぞれ、細胞の未分化性の維持や目的とする分化状態への制御が不可欠となる。本申請課題では、「多分化能を有するヒト幹細胞の分化制御を目指した培養面設計」を目指し、幹細胞の培養における組織再構築過程の現象を解析し、培養組織を対象とした細胞分化抑制の方法論構築を目指す。
非侵襲超音波診断・治療統合システムの構築法に関する研究
koizumi

東京大学大学院工学系研究科 講師
小泉 憲裕

助成額 100万円

2方向からの超音波画像をもとに画像追跡技術を利用して患部の運動補償を行なう非侵襲超音波診断・治療統合システムの構築法を確立する。本研究で提案する非侵襲超音波診断・治療統合システムとは、呼吸等により能動的に運動する患部を抽出・追従・モニタリングしながら、超音波を集束させてピンポイントに患部へ照射することにより、癌組織や、結石の破壊を、患者の皮膚表面を切開することなく非侵襲かつ低負担で行なおうとするものである。
工学的アプローチによる血流力学環境下における血管壁リモデリング制御機構の解明
sakamoto

東北大学大学院工学研究科 助教
坂元 尚哉

助成額 100万円

血管壁には血流によるせん断応力や血圧といった血流力学刺激に対して応答し分解・再構築(リモデリング)を行うことで血管の形状を維持する機能が存在する。本研究では血管壁のリモデリングに重要な役割を持つ血管内皮細胞と平滑筋細胞に注目し、血流力学環境とおよび血管壁分解・再構築機能の定量的関係を調べることで、血流力学刺激を入力とした血管壁リモデリング制御システムの工学的モデルの構築を行う。
ペプチド化学を基盤とした神経変性疾患治療へのアプローチ
shigenaga

徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部(薬学系)助教
重永 章

助成額 100万円

多くの神経変性疾患において、疾患関連タンパク質の核内蓄積が観測される。これら疾患の治療法として、核内蓄積タンパク質の除去が挙げられる。そこで本研究では、核内疾患関連タンパク質の核外輸送系の確立を目的とする。さらに、これら疾患の分子レベルでの理解を目指し、疾患関連タンパク質の核外輸送を細胞外部から制御可能とする新規ペプチド性デバイスの開発を行う。
高速応答・高耐久性を有する新規ドラッグデリバリーシステムの構築とその実用化検討
hara

早稲田大学先端科学・健康医療融合研究機構 講師
原 雄介

助成額 100万円

内部に大きな空包を持ち、生体適合性を有するポリアミドアミンデンドリマー(PAMAM)は、薬物放出媒体として応用が期待され、その機能に関する多くの論文が報告されてきた。申請者は、PAMAM をポリエチレングリコール(PEG)で化学架橋することで、デンドリマーを集積させた新規ハイドロゲルの合成に成功している。本研究では、新規ゲルを緑内障治療用コンタクトレンズや、損傷した部位を治癒する湿布剤としての実用化検討を行う。
マイクロ・ナノ流体を利用した、ラボの外で展開できる細胞培養・アッセイシステム
futai

東京電機大学フロンティア共同研究センター 助教
二井 信行

助成額 100万円

ポータブル(外部の配管がなく持ち運び可能)・リコンフィグラブル(流れのルートをダイナミックに変更できる)・ステーブル(中の流体が長期間物理化学的に安定)という条件を満たすマイクロ・ナノ流体制御システムを開発する。このシステムを用い、微細な空間・流れの下での細胞の性質を調べ、この性質を応用することで、「いつでも・どこでも」細胞培養・アッセイができるシステムを実現し、環境・医療分野への応用を図る。

(所属、役職は助成当時のもの、五十音順)

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