2012年

1分野10件、計20件に加え、このたびの東日本大震災に鑑み3件の震災復興特別助成を行いました。選考委員会による厳正なる選考の結果、次の若手研究者23名の研究テーマが採択されました。

研究助成一覧

「環境、エネルギー、社会基盤」分野(11名)

有機薄膜太陽電池用p型有機半導体への応用を指向したホール輸送性セルロース誘導体の開発
ikai

金沢大学理工研究域 助教
井改 知幸

助成額 100万円

構造が精密に制御されたバイオマス資源「セルロース」をテンプレートに利用して、カルバゾールなどのホール輸送ユニットを密にらせん状配列した新形態の「ホール輸送材料」の開発に挑戦する。本研究を通して、「バイオマス資源の構造特性」を活かした「有機薄膜太陽電池用p型有機半導体」開発に向けての新概念を提供する。

次世代機能性バイオマス開発のための微細藻類におけるCO2耐性機構の解明
ohta

東北大学大学院工学研究科 助教
大田 昌樹

助成額 100万円

高まる自然エネルギー需要を背景に、微細藻類を次世代型バイオマスとするための基礎研究開発が世界各国で進められている。環境立国を目指す我が国でも従来までの実用化技術と豊富な水資源を背景に未解決課題の克服と要素技術の強化に取り組む必要がある。本申請課題は、CO2耐性株の機能解明を通して、高濃度無希釈通気下での高効率の光独立栄養的代謝生産を目指すものである。

協奏機能型不斉触媒技術による有用化合物群の低環境負荷生産
kumagai

公益財団法人微生物化学研究会微生物化学研究所 主任研究員
熊谷 直哉

助成額 100万円

有機合成化学は、人類社会に貢献する有用化合物の効率的生産を可能にする根幹技術である。昨今の技術革新により、任意の化合物の人工合成が可能になりつつあるが、その手法は化学反応の進行のみが注目され、目的生成物を上回る廃棄物を副生する例が多い。私は、複数の基質の同時活性化機構を発現する不斉協奏触媒の設計により、副産物が水だけの環境調和型触媒的不斉アルキル化反応を開発し、上記問題の抜本的解決を計る。
単電子・スピン制御による省エネルギーシリコンナノデバイスの開発
kodera

東京工業大学量子ナノエレクトロニクス研究センター 助教
小寺 哲夫

助成額 100万円

本研究の目的は、低消費電力・高速情報処理をめざし、シリコンナノ構造中の単電子やスピンコヒーレンスを利用して情報処理機能を創発する新原理デバイスの開発を行うことである。将来的に既存のシリコンテクノロジーと量子情報処理・スピントロニクスの融合に繋がり、デバイスの高性能化と低消費電力化を両立させることができる。さらに本素子は、高感度なセンサーとしても利用でき、医療分野・生物学分野への応用も期待される。
逐次錯形成法による低コスト・簡便・精密合成が可能なビスジピリナト亜鉛(II)錯体を基盤とする高効率光電変換系の構築

sakamoto東京大学大学院理学系研究科 助教
坂本 良太

助成額 100万円

私独自の技術である、ヘテロレプティックな(=非等価な配位子を有する)ビスジピリナト亜鉛(II)錯体の合成法と錯体分子ワイヤの固相逐次錯形成法を利用して、組成の精密制御が可能ながら極めて簡便・低コストにて構築可能な高量子収率・長寿命光誘起電荷分離超分子系を完成する。さらに、この光有機電荷分離系を光電変換デバイスへと組み込み、高効率の光電変換系の創成を行う。
ウイルスを含む広範な原水水質に対応し得る新規凝集剤の開発

shirasaki北海道大学大学院工学研究院 助教
白崎 伸隆

助成額 100万円

近年の水道水源水質の変動により、従来のアルミニウム系凝集剤では水系感染症を引き起こす病原性ウイルスを効果的に処理することが困難な状況が生じてきている。そこで、本研究では、これまで明らかにされてこなかったウイルスの除去/不活化に有効なアルミニウム多量体の形態を特定することにより、新たなウイルス処理技術として、広範な原水水質に柔軟に対応し、消毒処理への負荷低減が可能な新規凝集剤の開発を行う。

固体高分子形燃料電池カソードにおける金属酸窒化物触媒の活性向上を目的とした担体の開発

chisaka豊橋技術科学大学大学院工学研究科 助教
千坂 光陽

助成額 100万円

環境への負荷が小さい、小型・高効率エネルギー源として期待される固体高分子形燃料電池カソードにおける非白金触媒として、近年私達が開発したハフニウム酸窒化物担持カーボン触媒を高活性化する。本研究では、これまで実施することができなかった1000 ℃以上の高温合成により、触媒活性を向上させるため、異元素置換により高温での耐アンモニア性が高いカーボン担体を合成する。
金属錯体の3次元配列制御による高効率光電変換ナノ材料の創製
makimura

大阪府立大学21世紀科学研究機構 特別講師
牧浦 理恵

助成額 100万円

ユビキタス元素から形成される金属錯体分子と金属酸化物の複合体を研究の舞台とし、光増感を担う錯体分子ユニットの規則配列および電子捕集を担う酸化物電極との界面接合を実現することで、高効率な光電変換のための電荷発生・移動の場を創出することを目指す。本研究の推進により、高効率太陽電池デバイスの創出のみならず、錯体化学とナノ構造制御を駆使した物質開発の新しい指針を与えるという波及効果をもたらす。
3次元レーザ計測に基づくコンクリート構造物のスケーリング定量的評価
mizoguchi

日本大学工学部 助教
溝口 知広

助成額 100万円

近年、凍結防止剤の大量散布に起因し、寒冷地における橋梁等のコンクリート構造物表層部のスケーリング劣化が顕在化しており、この劣化を定量的に評価する技術の開発が要求されている。本研究では、建築や土木の分野で従来の測量に代わる手段として急速に普及している長距離型3次元レーザ計測を用い、劣化したコンクリート構造物の計測データから、スケーリング量、及びその経年変化を定量的に評価可能な技術の開発を目的とする。
マイクロ波エナジーハーベスティングによる環境モニタリングセンサの開発

mitani京都大学生存圏研究所 助教

三谷 友彦

助成額 100万円

携帯電話・無線LAN等、身の回りの生活空間に絶え間なく漂うマイクロ波エネルギーを手軽に回収する「マイクロ波エナジーハーベスティング」により無線電力供給される環境モニタリングセンサを開発する。微弱マイクロ波をセンサ端末の電力源に変換するためのレクテナ(受電アンテナ+マイクロ波整流回路)を開発し、電源の気にならない環境センサネットワークの実現を目指す。
熱化学反応を利用した水分解による水素製造技術の研究開発
miyaoka

広島大学サステナブル・ディベロップメント実践研究センター テニュアトラック講師
宮岡 裕樹

助成額 100万円

本研究では、太陽熱で利用可能な熱化学反応による水分解を用いた水素製造技術の研究開発を目的とする。現在検討されている熱化学水素製造法は、反応制御に1000 °C近い高温が必要とされるため、利用できる熱源が限られてしまう。そこで、本研究では、生成物を反応場から分離/回収する「非平衡反応技術」を導入することで化学反応の熱力学を制御し、500 °C以下で水素製造が可能な反応系の探索或いは創出を行う。

(所属、役職は助成当時のもの、五十音順)

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「健康、医療技術」分野(12名)

中心体複製の分子機構の解析: 中心体過剰複製を標的とした抗がん剤創薬に向けて
kitagawa

国立遺伝学研究所新分野創造センター 特任准教授
北川 大樹

助成額 100万円

中心体の複製は分裂期紡錘体の形成において重要であることから、均等な染色体分配、ゲノム安定性維持に深く関与している。中心体の構成因子の全貌は徐々に明らかになりつつあるが、これら因子群がどのように有機的なネットワークを形成し、相互作用することで中心体複製を制御しているのかは不明な点が多い。本研究では多彩な手法を融合して中心体複製機構を分子レベルで解明することを目的とし、中心体過剰複製を標的とした抗がん剤創薬へ向けて基礎的な知見を提供することを目指す。
ナノプローブ標識アレイとアダプティブ電子顕微鏡技術を用いたがん組織マルチ分子計測技術の開発
kim

財団法人神奈川科学技術アカデミー安田「一細胞分子計測」プロジェクト 
サブリーダー・常勤研究員
金  賢徹

助成額 100万円

ヘテロな細胞集団からなる組織切片中の各細胞の状態を空間配置と関連づけて解明するために200種類以上のナノ粒子プローブと、これを高空間分解能で識別するアダプティブ電子顕微鏡の開発を進めている。本技術の実用的展開の試みとして、がん組織中の幹細胞、前駆体細胞等の発現状態の空間分布計測によって、がん組織が転移がんへ変化するダイナミクスの解明を目指した萌芽的原理検討研究に挑戦する。
ヒト癌薬剤反応機構における細胞集団不均一性の解明
kume

岩手医科大学医歯薬総合研究所腫瘍生物学部門 ポストドクター
久米 浩平

助成額 100万円

肉眼的に治療し終えたと考えられる癌でも、再発はしばしば見られる病態である。このことは、細胞集団の大多数が治療に反応しても少数の目に見えない細胞集団が治療抵抗性を獲得したことを示唆している。癌細胞がそもそも不均一なヘテロ集団であるというコンセプトから、薬剤に対して一見ランダムな個々の細胞の反応が癌組織全体の反応へと反映される過程を解析することにより、癌の薬剤反応機構を解明する。

小胞体機能制御による難治疾患治療基盤の構築
saito

広島大学大学院医歯薬学総合研究科 助教
齋藤  敦

助成額 100万円

小胞体内に不良タンパク質が蓄積すると細胞が障害される(小胞体ストレス)。細胞はこれを回避するため防御機構を活性化させる(小胞体ストレス応答)。最近、小胞体ストレス応答が細胞の分化・成熟あるいは機能発現にも重要な役割を果たすことが分かってきた。本研究では小胞体を発信源とする様々なシグナル経路の破綻によって生じる疾患の分子機序解明および新たな創薬ターゲットの発見や治療戦略基盤の構築を目的とする。
黒質におけるドパミンD2L受容体の樹状突起スパイン形態制御の解明
shioda

東北大学大学院薬学研究科 助教
塩田 倫史

助成額 100万円

ドパミン D2 受容体には、2 つのアイソフォーム、D2L 受容体 と D2S 受容体が存在するが、脳内における詳細な細胞内機構の違いについて未だ明らかとされていない。私達は、 D2L 受容体発現細胞は D2S 受容体発現細胞よりも樹状突起の伸展が促進されることを見出している。 D2L 受容体の樹状突起制御機構の解明は今後の精神疾患の原因解明と治療薬の開発に貢献できる。

微量血液由来のiPS細胞を用いた先天性心臓イオンチャネル疾患の心筋細胞解析系確立
seki

慶應義塾大学医学部循環器内科 研究員
関  倫久

助成額 100万円

私たちは僅かな量の末梢血からiPS細胞を樹立する方法を確立し、心筋分化誘導することに成功した。本研究では、患者から採血で細胞を採取し、iPS細胞を作製し心筋分化誘導することで先天性心臓イオンチャネル疾患の心筋細胞の表現型解析系の確立することを目的とする。
ES細胞におけるLefty1,2の役割
takaoka

大阪大学大学院生命機能研究科 助教
髙岡 勝吉

助成額 100万円

ES細胞やiPS細胞から複雑な構造を持つ臓器を作るためには、目的の臓器の細胞を誘導するだけではなく、細胞集団へ位置情報を与えることも重要である。本研究では、位置情報獲得機構の要と考えられるLefty1,2の役割を、ES細胞において解明することを目的とし、将来の再生医療への応用を目指す。

胎児および乳幼児の脳神経系に悪影響を与える有害環境化学物質ビスフェノールAの低用量作用発現機構の解明
matsushima

九州大学大学院理学研究院 助教
松島 綾美

助成額 100万円

子供の脳が危ないと言われている。本研究では、プラスチック原料・ビスフェノールAと結合する受容体を、放射標識ビスフェノールAを用いた直接結合試験により、複数同定する。これにより、今なお原因不明のままである低用量作用発現機構の分子機構を解明し、子供の健康維持・増進に大きく寄与する。

高齢者のQuality of lifeを向上させるロボティックインターフェースの開発
matsumoto

電気通信大学先端領域教育研究センター 特任助教
松本 光春

助成額 100万円

本研究は高齢者の健康状態を把握し、高齢者のQuality of life(QoL)を向上させる高齢者見守りシステムの構築と、高齢者の能動的な生活の実現をめざし、見守りシステム内で起きた事前には予期できないエラーをあたかも自分が起こしたかのように錯覚させるロボットの心理・行動モデルの確立と高齢者にとってわかりやすく、高齢者からの積極的な働きかけを実現するマニュアルフリーロボットの開発を目指す。
カーボンナノチューブを活用した新規遺伝子発現制御技術の開発
miyako

独立行政法人産業技術総合研究所健康工学研究部門 研究員
都  英次郎

助成額 100万円

本研究では、生体透過性の高い近赤外領域のレーザー光線により容易に発熱するカーボンナノチューブの特性(光発熱特性)を熱ショックに応答して遺伝子発現が可能な形質転換した細胞に適用することで、標的とする機能性分子(蛋白質やペプチド)を生体内で遠隔合成可能な新しい細胞機能制御技術を開発する。
脱髄疾患に対する細胞遊走機構活性化による組織修復効果の検証
muramatsu

大阪大学大学院医学系研究科 助教
村松 里衣子

助成額 100万円

多発性硬化症などの中枢脱髄疾患では、髄鞘の脱落により重篤な神経症状が生じる。失われた神経機能の再獲得には、髄鞘の再生が必要になるが、本機構を促進する分子機構についての報告は乏しい。本研究では、髄鞘形成を担うオリゴデンドロサイト前駆細胞の細胞遊走性を高めるメカニズムを解明する。得られた分子機構を活性化し、個体レベルでの髄鞘再生効果も検証する。

マスト細胞成熟化に関与する新規細胞接着分子の同定とその応用
yamaguchi

独立行政法人医薬基盤研究所創薬基盤研究部 プロジェクト研究員
山口 朋子

助成額 100万円

マスト細胞は、各種アレルギー疾患の発症や進展に重要であるが、薬物アレルギー評価系の開発に必要な成熟マスト細胞を生体から取り出し培養することは困難である。そこで本研究では、マスト細胞の成熟化に関与する細胞接着分子を新たに同定し、それを用いて in vitro におけるiPS細胞から成熟マスト細胞への分化誘導法を確立することにより、薬物アレルギー反応をin vitroで評価するための基盤技術を構築することを目的とする。

(所属、役職は助成当時のもの、五十音順)

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