2015年

「資源、エネルギー、社会基盤」分野から10件、「医学、薬学」分野から10件、計20件の募集を行い、選考委員会による厳正なる選考の結果、次の若手研究者20名の研究テーマが採択されました。

研究助成一覧

「資源、エネルギー、社会基盤」分野(10名)

次世代型革新高出力蓄電池「金属触媒フリーリチウム空気電池」の開発

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東北大学 原子分子材料科学高等研究機構 助教
伊藤 良一

助成額 100万円

導電性に優れた3次元ナノ多孔質グラフェンを用いて電流出力エネルギー2000mAh/gを有する次世代革新型リチウム2次電池を創出し、電気自動車を400 kmまで走行させることが可能な蓄電池のプロトタイプの完成を目指します。これまでのリチウム空気電池はプラチナや金などの貴金属を触媒と使用しており、貴金属触媒を使わない技術開発が実用化に向けた障害の一つになっていました。本研究は金属触媒を必要としない電池構成に着目し、主要部分は炭素で構築された新しいタイプのリチウム空気電池の開発を行います。金属を使わないことから環境負荷が小さく低コスト(製品に入るのは炭素のみ)な実用的材料構成であり、様々な蓄電池分野で使用される新規炭素系電極材料の開発と実用化の方針を明確にします。

太陽電池用部分影補償器を統合した「部分影補償器統合型コンバータ」の開発

uno茨城大学 工学部電気電子工学科 准教授
鵜野 将年

助成額 100万円

複数の太陽電池モジュールを直列に接続してストリングを構成して使用する場合、パネルの一部に影が掛かる「部分影」により太陽電池ストリングからの抽出可能電力が大幅に低下することが知られている。本研究では、部分影補償器とストリング制御用のコンバータを1つのコンバータへと一体化した「部分影補償器統合型コンバータ」の開発を行う。

革新的分子設計による超高効率に水の光還元分解を行う多核金属錯体の創成とその展開
003島根大学 大学院総合理工学研究科 助教
片岡 祐介

助成額 100万円

本研究では、申請者が開発した「高効率な水の光還元分解を行うロジウム二核錯体」に光増感剤を直接結合させた「光増感剤複合ロジウム二核錯体」を創成し、水の光還元反応における可視光応答型触媒として応用する。
本研究の特色は、実験と理論計算の両方の研究手段によって、分子軌道などのミクロな観点から優れた触媒効率を発現する為の条件を明らかにする事にある。

リチウムイオン二次電池のリアルタイム故障診断が可能なパワーコンバータの開発

004katayama東京理科大学 理工学部電気電子情報工学科 助教
片山   昇

助成額 100万円

本研究の目的は、リチウムイオン二次電池をリアルタイムで診断するパワーコンバータの開発である。微小交流を利用する電気化学インピーダンス法を採用することにより従来の直流電圧による診断技術と比べて多種の詳細な診断情報が得られる。さらに、電圧変換を行うパワーコンバータに電気化学インピーダンス法による診断機能を搭載する試みは世界初であり、低コストながら故障診断や予知,充電残量の推定精度が大幅に向上する。

バイオマスモノマーを用いた主鎖生分解性ゴムの開発と機能化

005信州大学 繊維学部 テニュアトラック助教
髙坂 泰弘

助成額 100万円

バイオマスを原料とし、生分解による原料の再生が可能なリサイクル性を有する、合成ゴムを開発する。トウゴマの種子から得られるリシノール酸をラクトン化し、その開環重合により原料ゴムを得る。この原料ゴム中に含まれる炭素-炭素二重結合と硫黄ラジカルとの反応により、架橋ゴムを得る。また、同じく植物由来の12-ヒドロキシステアリン酸との精密共重合により。熱による成形加工が可能な、非架橋型のゴムの合成も試みる。

プロトンリレーを利用したマイクロ波活性化型固体触媒の開発と、糖質バイオマスの加水分解への応用

006東京工業大学 理工学研究科応用化学専攻 助教
椿 俊太郎

助成額 100万円

従来の硫酸法、酵素法に代わる、マイクロ波照射と固体触媒を併用した糖質バイオマスの加水分解法を開発する。本課題では、プロトンが水中でプロトンリレーと呼ばれる高いイオン伝導性を示す性質を利用してマイクロ波を強く吸収する固体酸触媒を開発する。高プロトン伝導性触媒と、マイクロ波を強く吸収する炭素材料の担体を複合化し、マイクロ波吸収性と触媒活性を両立した固体酸を創成し、糖質バイオマスの変換に応用する。

高効率・フレキシブル太陽電池の創出に向けたプラスチック上伸長歪ゲルマニウム薄膜の開発

007筑波大学 数理物質系物理工学域 助教
都甲 薫

助成額 100万円

本研究は、高い効率と広い汎用性を両立する「プラスチック上の多接合型太陽電池」の早期開発を目指し、その鍵技術となる「Ge基層の結晶成長技術」の構築と高出力の実証を目的とする。

具体的には、独自シーズ技術の「Al誘起成長法」で形成した擬似単結晶Ge薄膜上に伸長歪Ge光吸収層を気相成長する。成長条件および結晶性と光学特性の相関から高出力化の指針を明らかにし、バルク単結晶並の光学特性を持つGe薄膜の創出を目指す。
生化学反応を利用した木質バイオマスからの界面活性分子の創出

008nishimura京都大学 生存圏研究所 生存圏診断統御研究系 助教
西村 裕志

助成額 100万円

バイオマス変換に付随して高付加価値分子を生産することができれば、バイオ燃料、バイオマス利用の促進につながると期待される。本研究では、木質系バイオマスから界面活性分子(バイオサーファクタント)の創出を目指す。木質バイオマスのポテンシャルを活かした糖-リグニン複合型バイオサーファクタントと木材腐朽菌が産生する新規バイオサーファクタントという2つのアプローチによる高機能物質創出を行う。

超伝導線材高性能化に向けたナノロッド界面の原子分布制御

09horide九州工業大学 大学院工学研究院物質工学研究系 助教
堀出 朋哉

助成額 100万円

YBa2Cu3O7高温超伝導線材の臨界電流密度(Jc)向上により高効率エネルギー利用が可能になる。YBa2Cu3O7線材において非超伝導体ナノロッドを導入することによりJcが向上する。しかしステップ関数状に変化する界面が理想であるが、現在のナノロッドではYBa2Cu3O7との界面で構造が乱れており理想的な特性が得られていない。本研究では界面での原子分布に着目し、ナノロッド界面での電子状態・キャリア・組成を制御することによりJc向上を実現する。

遷移金属カルベン錯体を用いたフラーレンの分子変換による革新的な光電変換材料の開発

10yamada東京学芸大学 教育学部自然科学系分子化学分野 准教授
山田 道夫

助成額 100万円

フラーレンは優れた電子アクセプター性を有することから、有機太陽電池への応用が進められている。しかし、十分な性能を発揮させるためには有機化学的な手法によりフラーレンを誘導体化する必要がある。本研究では遷移金属カルベン錯体を用いた革新的なフラーレンの分子変換法を提案する。本手法に基づく多様なフラーレン誘導体の効率的合成法の確立により、従来のフラーレン誘導体を凌駕する光電変換材料の開発へと展開させる。

(所属、役職は助成当時のもの、五十音順)

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「医学、薬学」分野(10名)

痛みストレスによる神経活性化を介した自己免疫疾患増悪機構の解析

01arima北海道大学 遺伝子病制御研究所分子神経免疫学分野 特任助教
有馬 康伸

助成額 100万円

現代社会において過剰な神経活性化を引き起こすストレスなどが、多くの疾患の原因となることが示唆されており、そのメカニズムを解明するために神経活性化による病気誘導の分子機構解明が急がれている。我々はすでに痛みストレスによって炎症が増強されることを明らかとしているので、その詳細な分子機構を明らかとすることで、自己免疫疾患の新規治療薬、治療法を開発し、社会に還元することを研究目的とする。
反復配列RNAが惹起する組織間恒常性破綻による癌進展および易転移環境形成機構の解明

02kitagawa東京大学 医学部附属病院消化器内科 特任臨床医
岸川 孝弘

助成額 100万円

膵癌において異常高発現している反復配列non-coding RNAが、癌周囲の正常組織および遠隔臓器からも検出されるという結果に基づき、癌の進展・転移が、異常な反復配列RNAの発現・分泌・組織間伝達によって促進されるという可能性について、3次元培養細胞・動物モデル・ヒト組織を用いて分子学的に検証を行い、さらに、恒常性破綻の防御という観点からの癌進展に対する予防策を開発する。

新規の血管発芽シグナルを標的とした癌治療法の開発

03kidoya大阪大学 微生物病研究所情報伝達分野 助教
木戸屋 浩康

助成額 100万円

血管の発芽は腫瘍血管の形成の起点となる現象であり、その制御は癌治療の標的としても重要視されている。血管発芽はVEGF系により制御を受けることが報告されているが、VEGF阻害剤では腫瘍血管新生を完全に抑制できないことから、未知の発芽機構の存在が示唆されている。本研究では、生体内イメージング解析とシステムバイオロジー的解析を融合させうることにより、VEGF非依存性の腫瘍血管の発芽制御機構を解明する。

アストロサイトのpH動態変化に基づいた神経脱落機構の解明

05sumida東京大学 大学院薬学系研究科 助教
佐々木 拓哉

助成額 100万円

近年、脳疾患の標的の1つとしてグリア細胞が注目されている。申請者は先行研究にて、グリア細胞のイオン動態が、虚血性神経細胞死の直接的要因となることを示している。本研究では、虚血時におけるグリア細胞のイオン動態依存的な活動を解析し、また病態モデル動物において、神経回路活動の時間変化を直接計測する。研究成果は、推測の域を出なかった生理現象を解明し、新たな治療標的と創薬の可能性を考察することに貢献する。
PETイメージングのためのベンザイン-金属錯体の高反応性制御による迅速自在変換

005sumida国立研究開発法人理化学研究所 ライフサイエンス技術基盤研究センター  研究員
隅田 有人

助成額 100万円

PET法は、現代医学において疾病の早期発見、創薬開発の推進に繋がる重要な分子イメージング技術である。PET法の成否の鍵は質の高いプローブ合成法の確立にあるが、標識するための短寿命核種特有の制約により、自在合成は未だ困難である。本研究では、ベンザインの高反応性を利用し、短寿命核種の迅速導入法の確立を目指す。これは革新的なPETプローブ合成戦略の提案のみならず、合成化学の普遍的な方法論となる。
心不全・動脈硬化進展における力学的ストレス入力の本態解明と制御治療

06seo自治医科大学 分子病態治療研究センター分子病態研究部 助教
瀬尾 欣也

助成額 100万円

心不全・動脈硬化進展において不可欠な要素である血行力学ストレスが、何を介し、どのようなシグナルを活性化し、どのように心血管リモデリングを来すのか、我々が開発した「二光子イメージング手法」を用いて生体内で明らかにする。特に、心筋・血管内皮細胞・線維芽細胞における機械刺激感受性チャネルの応答に着目し、心血管病態にアプローチするだけでなく、力学ストレス応答そのものを制御する新規治療を目指す。
PPI創薬のための動的かつ効率的スクリーニング技術の開発

07takaoka東北大学 大学院理学研究科 講師
高岡 洋輔

助成額 100万円

本研究は、タンパク質間相互作用(PPI)を制御する化合物の新規スクリーニン グ技術を開発する。現状このような化合物評価に用いられてきた 既存の方法 は、煩雑な操作や多大な費用を要するものが多く、簡便な技術開発が望まれてい る。申請者は、溶液系で蛍光変化によってPPIを読み 出すシステムを構築し、動 的かつ効率的にスクリーニングするシステムを確立する。

ミクログリアによる神経保護効果の検証

08fujita大阪大学 大学院医学系研究科 特任助教
藤田 幸

助成額 100万円

本研究では、脳内の免疫担当細胞であるミクログリアの神経保護効果を誘導することで、中枢神経障害による軸索変性を阻止し、新たな治療法の確立に貢献することを目的とする。ミクログリアは中枢神経損傷後、炎症反応を惹起する。一方で、近年の研究から中枢神経発生期に、ミクログリアが神経保護作用を示すことが明らかになってきた。

感染を制御する神経骨免疫システムの統合的理解

09maruyama大阪大学 免疫学フロンティア研究センター 助教
丸山 健太

助成額 100万円

皮膚・副鼻腔・関節の感染は組織や骨の破壊を伴う。近年、無痛症患者では病原体による局所感染とそれに続く関節炎や骨髄炎が多発することが明らかとなってきたが、その機序は不明である。本研究では神経細胞と骨自然免疫系のクロストークを探究することを通して、局所感染におけるあたらしい病態生理機構の提唱に挑む。

約24時間周期の転写産物リズムを生み出す新たな転写後調節A-to-I RNA編集
10yoshitane東京大学 大学院理学系研究科 助教
吉種 光

助成額 100万円

地球環境は昼と夜とでダイナミックに変化し、生物は恒常性維持のために環境リズムを予知して適応して来た。概日時計により数多くの転写産物にリズムが生まれて多彩な生理機能にリズム性が観察される。本研究では、この生物時計の制御下で転写後調節の1つであるA-to-I RNA編集がリズミックに機能していることを明らかにするとともに、編集効率のリズムが数多くの転写産物リズムへと伝わるダイナミクスを解き明かしたい。

(所属、役職は助成当時のもの、五十音順)

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